セリエA入門

セリエAを観てみたいけど詳しくない方に向けたセリエA入門ブログです!

各クラブサポに聞く、セリエ各クラブの魅力!(後編)

こんにちは、カルロウです!

 

このブログの前編でユベントスについても紹介していたら公開日になんとロナウドが退団。

前編ではユベンティーノの感じるユベントスの魅力とロナウド獲得プロジェクト・獲得後のサッカーのスタイルの間の大きなズレが顕在化でき、このブログの偉大さを証明しちゃいました()

 

↓前編のブログ

 

 

今回のブログでは約230名のセリエファンから「好きなクラブを応援し始めるきっかけ」「そのクラブの魅力」を答えていただき、その内容を分類・整理・分析していきます。そうすることで各クラブの魅力を再認識・発信することにつなげ、人気の低迷するカルチョの広報に役立てたいという企画でございます。

 

前編ではCLに出場する4クラブを紹介しましたが、後編ではお答えいただいた残り7クラブをご紹介します。

 

ちなみにそのクラブはナポリラツィオ、ローマ、フィオレンティーナボローニャトリノパレルモになります。南イタリアのクラブが多いですね!

 

それでは上記の順番でご紹介します!

 

※特定の質問に回答していない方や複数の要素をあげている方がいるのでご回答していただいた人数と数字は合いません。また、回答の分類分けは私の判断によるものなので予めご了承ください。

 

1.ナポリ

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ナポリからは23名の方にご回答いただきました!

 

ナポリを応援し始めるきっかけ

応援し始める時期は2010年代前半のカバーニラベッシハムシクの時サッリボールの時の2つの時期が多かったです。後で判明しますが、前者は選手に惹かれて、後者はサッカーに惹かれる人が多いです。

 

〈結果〉

ご回答をグループ分けし、2名以上になったものはこちらになります。

①特定の選手・監督の影響 8人

②サッカーの内容 6人

③特定の試合を観て 4人

④強さや躍進に惹かれて 2人

⑤メディア・ゲームの影響 2人

 

〈分析〉

①に関してはカバーニラベッシハムシクの3人とメルテンス・インシーニェ・カジェホンの3人が圧倒的に多かったです。実際はいらっしゃると思いますがさすがにTwitterではマラドーナと答える人は今回はいませんでした。

サッリ時代の「世界一美しいサッカー」に惹かれてみる人がやはり多い。後でわかりますがこれがきっかけでナポリを見始めた人もサッリのいない現在は違うところに魅力を見出せています。守備戦術を挙げている人もいました。

③挙げられていた試合はばらけていました。④はずっと2番手としてユベントスを追いかけていた時や、CLでメガクラブ相手に健闘する姿に胸を打たれた人が多いようです。

⑤はウイイレが中心でした。クリバリは強いですし、小回りの利く選手も多いですしね笑

 

ナポリの魅力

〈結果〉

2票以上獲得したのは、

①チーム・ファンの雰囲気 11人

ナポリという町 7人

③会長・経営 6人

④サッカーの内容 4人

⑤選手 3人

⑥強さ 3人

 

〈分析〉

①最も多かったのはチームの仲の良さと熱狂的なファン。前者はゴールをチームで全力で喜びあう姿を挙げる人が多かったです。南イタリアらしいファンの熱さも好きな人が多かったです!

②はナポリ南イタリア」であることを挙げる人が多かったです。南北格差の激しいイタリアの南の代表として、北の3強に立ち向かう姿に熱くなる人が多いのでしょう!ナポリの町としての美しさを挙げる人もいました。

個性的なデ・ラウレンティス会長が挙げられていましたが、別に褒められてはいませんでした()。個性的なワンマン会長はプレミアにはあまりない魅力かもしれません。

④は美しいサッカーはもちろん、フィジカル的に劣っている選手がいながらも技術とチームワークで立ち向かっていくことに魅力を感じている人がいました。

⑤はクラブ愛の選手が多いことはもちろん、ナポリっ子のキャプテンのインシーニェが人気でした。あのマラドーナと関わりが深いことを挙げている方もいました。

⑥は強豪であることはもちろん、ギリギリでユーべに勝てないからこそ燃えるということを挙げている方もいました。

 

2.ラツィオ

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ラツィオからは8名の方から回答をいただきました!

 

ラツィオを応援し始めるきっかけ

応援をし始める時期としてはスクデットをとった1999-2000前後からの人が最も多かったです。

 

〈結果〉

①強かった時期に惹かれて 4人

②メディア・ゲームの影響 2人

③特定の選手・監督の影響 1人

④危なっかしいところに惹かれた 1人

 

〈分析〉

①これはスクデットをとった1999-2000前後が多かったです!また近年の躍進に惹かれた方もいました。やはり強い時期がファンを引き付けますよね!

②はwccfとTifo per la LAZIOというサイトがきっかけの方でした。ゲームはもちろん、サイトや動画をきっかけというのも近年は増えてくるかもしれません。

③はクローゼでした!ちょうどW杯で話題のストライカーがラツィオにいたのは大きいですね!今回はいませんでしたがネスタスクデット期の選手に惹かれた人もいるかもしれません!現在も派手なタレントは多いのでこの分野は注目ですね。

④は終了間際でリードしてても危なっかしいところが好きみたいです。ドMですね。

 

ラツィオの魅力

〈結果〉

①会長・経営陣・経営 4人

②サッカー内容 2人

③チームやファンの雰囲気 2人

 

〈分析〉

財政難を立て直したロティート会長の癖の強さやケチっぷりが好きな人や、SDのターレの敏腕っぷり、そして若手や燻っている選手を安価で獲得した開花させることが好きといった意見がありました。

攻撃的なサッカーが魅力に挙がりました。今期はサッリが就任し、インモービレ・ペドロ・アンデルソン・ルイスアルベルトといったタレントとどう噛み合うのか注目ですね。

③は選手の仲の良さやファンの熱さが挙がっていました!ダービーのラツィアーレは熱すぎますからね()

 

3.ローマ

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ローマからは38名が回答してくださりました!

 

⑴ローマを応援し始めるきっかけ

応援し始めた時期はトッティと中田が共存した2000年代初頭が多かったです!

 

〈結果〉

3名以上いたご回答はこちらになります。

①特定の選手・監督の影響 23人

②町の雰囲気・旅行 6人

③メディア・ゲームの影響 4人

④他者の影響 3人

 

〈分析〉

①圧倒的にトッティと中田選手でした!クラブの象徴と日本人選手のセットは最強ですね!その他にもデロッシなどバンディエラの選手に人気が集まっていたのもローマらしいですね。

②はさすがローマ!ローマ旅行でローマという町を好きになったことや、旅行のついでに試合を観て好きになった人がたくさんいました。ローマにいったらぜひオリンピコに足を運んでみてください!

③はウイイレはもちろん、ローマの英語版Twitterがきっかけの方もいました。SNSの影響は意外と侮れません。

④は近親者にロマニスタがいるパターンでした。また、ここに分類すべきかわかりませんが北川さんの影響で興味を持った方もいました。

 

⑵ローマの魅力

〈結果〉

3票以上あったのは、

①チームやクラブの雰囲気 16人

②ロマニズモ 9人

③選手 6人

④ローマローマローマ(歌) 3人

⑤不完全性 3人

 

〈分析〉

①はロマニスタの熱さが好きな人が多かったです!ダービーのロマニスタはすごいですしね笑。熱いファンが歌う④のローマローマローマは感動ものです。北川さんがごり押しするのも頷けます。

②のロマニズモはローマ独特の概念で、ローマ人としての誇りという感覚が近いのでしょうか。そのため、ローマ出身のバンディエラが多く、そのことに惹かれる人が多かったです。これはどのクラブにもない魅力だと思います。

③はクラブ愛の強い選手が多く挙げられていました。ロマニズモとの関係だと思います。また、イケメンが多いことも挙がっていました。ペッレグリーニやザニオーロといったセクシーなイタリア人が多いですね。

⑤は定期的にネタ要素を提供してくれるところが好きということでした。思い当たる節が多すぎますね…

 

4.フィオレンティーナ

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セブンシスターズフィオレンティーナからは7名が答えてくださりました!

 

フィオレンティーナを応援し始めるきっかけ

時期はやはり1990-2000年代が多かったです!

 

〈結果〉

①特定の選手・監督の影響 4人

②旅行 1人

③特定の試合を観て 1人

④メディア・ゲームの影響 1人

 

〈分析〉

①やはりバティストゥータとルイコスタが多いですね!その他にもダヴィド・ピサーロやムトゥ、ヨヴェティッチなどがいました!

②はフィレンツェ旅行です。イタリアに行く人は必ずフィレンツェも行くと思うので、そこでフィレンツェが好きになるとヴィオラが好きになるかもしれません!

③は宿敵ユーヴェ戦での大勝らしいです。いつのかはわかりませんが、近年だと8か月前に3-0で勝利しています。

④Viva Calcioという漫画をきっかけに応援し始めたそうです。この漫画は主人公がフィオレンティーナに加入するそうで、それは絶対好きになりますよね!

 

フィオレンティーナの魅力

〈結果〉

フィレンツェという町 5人

②ロマン 3人

③選手 1人

 

〈分析〉

①ほとんどの方がフィレンツェの美しさや気品を挙げていました。さすがフィレンツェですね!やはりフィレンツェとともにクラブを好きになってもらうのが良いんでしょうか。

②常に良いメンバーが揃っているフィオレンティーナ。その分失望も見られる時がありますが、いつか花開くのではないのかと感じさせちゃうロマンは魅力ですよね。

③この回答は「フィレンツェの街のように選手も美しい」というもの。この答えも美しい。

これらの回答に加え、紫色のユニフォームもクラブ名もスタジアムも美しいのでおしゃれな人向けなチームって感じですかね笑。

 

 

ここからは少人数なので量的な分析ではありませんがご紹介します。

5.ボローニャ

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冨安選手でおなじみのボローニャ2名の方にお答えいただきました!

 

ボローニャを応援し始めるきっかけ

2名とも冨安選手がきっかけでした!また、モダンサッカーの教科書でおなじみのレナート・バルディコーチもきっかけの一つに挙げられていました。

やはり日本人選手が入ると確実にファンが獲得できますね!(鈴木優磨あたり来ないかなあ…)

 

ボローニャの魅力

2名とも挙げていたのが、ミハイロビッチ監督による攻撃的なサッカー。オルソリーニ…バロー・サンソーネ・ソリアーノ・ヴィニャート・新加入のアルナルトヴィッチといったタレントは多くいて、攻撃力は抜群です!その分失点もとんでもないことになってますが()。冨安選手に頼りましょう。

 

6.トリノ

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ベロッティでおなじみトリノからは1名のご回答!

 

トリノを応援し始めるきっかけ

2013-14のインテルに心を打たれたようです!プロヴィンチャに惚れるきっかけとしてビッグクラブに懸命に立ち向かう姿に心を打たれたというのはあるあるですよね!

 

トリノの魅力

サポーターの熱気はもちろん、ハードワークなところが好きみたいです!今年はヴェローナからユリッチ監督を招聘することからおそらくハードワークに磨きがかかると思われます。タレントもそろっているので躍進に期待です!

 

7.パレルモ

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現在はセリエCにいるパレルモからはなんと2名が答えてくださりました!1部にいた時は存在感のあるクラブでしたからね!

 

パレルモを応援し始めるきっかけ

1名の方はミッコリがきっかけでした。プロヴィンチャのエースはやはりかっこいいですよね!

もう1名の方は鮮やかなピンク色のユニフォームと、強烈な個性を誇っていたザンパリーニ元会長でした。パレルモといえばこの方ですよね笑。監督を次々と解任し、再登板もいとわない姿勢は圧巻でした。

 

パレルモの魅力

1名の方は育成や選手の発掘。ディバラ・カバーニパストーレ・バルザッリ・ケアー・シリグなどなど、育成した名選手は数え切れません。

もう1名の方はサポーターの熱さです。やはり南の方はサポーターが熱いですね!

現在は3部ですが、いつか1部でもう一度みたいですね!

 

 

8.後編・全体の総評

後篇は南イタリアのクラブやプロヴィンチャを中心にお送りしました。南部のクラブはサポーターの熱さをあげるクラブが多く、北部との違いがよく出ていましたね。また、名物会長を魅力に挙げる方も多く、イタリアならではの魅力がよく出ていました。ナポリフィレンツェ・ローマは街の美しさにも触れられていてイタリアに行きたくなりましたね笑

 

回答人数の多かった4クラブの魅力を一言で表すと

ナポリ→温かいチームと激熱なナポリ

ラツィオ→攻撃的サッカーと名物会長

ローマ→熱いロマニスタと受け継がれるロマニズモ

フィオレンティーナ→美しきフィレンツェでのロマンの追求

 

 

といった感じですかね。それぞれ異なった魅力があって良いですね!

 

それでは今回のアンケート企画は以上になります。このブログがカルチョの発展に活かされれば幸いです。

皆さま、アンケートのご協力誠にありがとうございました。

 

各クラブサポに聞く、セリエ各クラブの魅力!(前編)

こんにちは、カルロウです!

 

セリエAをはじめとしてヨーロッパの主要リーグは新シーズンがスタートしましたね!

でもそんな中今年のセリエAは放送試合数が少ないことに憤りを感じている方も多いのではないのでしょうか。

 

それにはカルチョ自体の人気が日本であまり高くないことが関係しているでしょう。そのため、魅力を他のサッカーファンに伝えていく必要があります。

 

そこで、一つ疑問が…

 

セリエAや各クラブの魅力とは何なのでしょうか?

 

他リーグファンに見てもらうために魅力を打ち出すにしても、そもそも魅力が何なのかを整理しておく必要があります。

 

そこで、今回はすでにセリエAの各クラブの魅力を語れるファンの方約230人から、「そのクラブのファンになったきっかけ」「そのクラブの魅力」をお聞きし、それを分類・整理・分析してみました!(皆様ご協力ありがとうございました。)

 

このデータを活かし、各クラブのファンの方は魅力を再認識して広報の題材にしてほしいと思います!あなたの推しクラブはもちろんカルチョ全体の発展につなげていきましょう!

 

それでは少々前置きが長くなってしまいましたが、ご回答いただいた11クラブを順位に並べてご紹介していきます!

 

※特定の質問に回答していない方や複数の要素をあげている方がいるのでご回答していただいた人数と数字は合いません。また、回答の分類分けは私の判断によるものなので予めご了承ください。

 

前編ではCLに出場する4クラブです!

 

1.インテル

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昨季の王者インテルからは33名の方にご回答いただきました!

 

インテルを応援し始めるきっかけ

応援し始めた時期は圧倒的に三冠獲得~長友加入の時期が多かったです!

 

〈結果〉

ご回答をグループ分けし、3名以上になったものはこちらになります。

①特定の選手・監督の影響 14人

②強さに惹かれた 5人 

③メディア・ゲーム等の影響 4人

④家族等周囲の影響 3人

 

〈分析〉

①は圧倒的に長友選手の割合が多かったです!この後のチームでもそうですがやはり日本人選手の加入は大きなファン獲得の機会です。また、インテルは時代によって様々なスタープレイヤーがいたせいか、長友選手以外は様々な選手が挙げられていました。これは特定の選手に票が集中した他クラブにはない特徴です。

②やはり三冠を見て応援し始める人が多かったです。強いチームを応援したくなるのは当然です。そして③はwccfウイイレが中心でした。インテルはタレントが豊富ですしゲームでは使い甲斐のあるチームであることが理由でしょうか。

また、北の3強のようなビッグクラブは④のような親の影響の人が一定数いることもわかりました。洗脳教育しちゃいましょう()

 

インテルの魅力

〈結果〉

①不完全さ・グダグダさ 12人

②スリル 7人

③選手 4人

④国際色 4人

⑤Pazzaさ 3人

 

〈分析〉

これは非常に珍しい結果になりましたね笑。ファンの方の多くが「ポジティブでない要素」を魅力にあげています。

①に関しては「完璧ではないところ」を挙げている人が多かったです。昔からスター選手は多くいるものもかみ合わなかったことが多々あったインテル。そんな愛すべきグダグダ感と垣間見えるロマンに惹かれる方が多いのでしょう。

②は①と似ていますが、ハプニングがよく起こることを挙げている方が多かったです。昨季久しぶりに優勝したのにルカク・ハキミ・コンテがいなくなったように、常に何が起こるかわからないところはファンの心を良くも悪くも揺さぶります。これは堅実さが魅力に挙げられていたユベントスとは対極の要素になります。

⑤のPazzaもイタリア語でCrazyに近い意味があります。Pazza Interというキーワードがよく使われますが、これも①や②に近い答えですね。

③は選手の個性や可愛さへの言及が多かったです。④はインテルの理念でもありますし、インテルらしい答えですね。国際色豊かなチームがまとまる姿はわくわくさせられます。

 

 

2.ミラン

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ミランからは最多の52名にご回答いただきました!

 

ミランを応援しはじめるきっかけ

応援し始める時期としては、2000年代の黄金期ズラタンの復帰が圧倒的に多かったです。想像以上に後者が多かったのが驚きでした。

 

〈結果〉

3人以上の回答の内訳としては、

①特定の選手・監督の影響 26人

②メディア・ゲーム等の影響 7人

③ユニフォームに惹かれた 6人

④強さに惹かれた 5人

⑤特定の試合を観て 4人

 

〈分析〉

①圧倒的に多かった選手の影響。その中でもズラタンは断トツの得票率でした。やはり低迷したミランを救うために復帰した男気に惚れてファンになった人は多かったのでしょう。また、本田選手も多くの票を獲得していました

②は圧倒的にミランチャンネル経由が多かったです。復活しないかな~。テレビで特定の欧州クラブの番組をやるというのは今では考えられないですね。それはファンになりますよ。

ロッソネロのユニフォームはやはりかっこいいですよね!結構理由は後付けで実はユニフォームのデザインが好きだったという人はかなり多い印象です。

④は当たり前ですが2000年代が中心です。⑤はCLの決勝やトヨタカップ等が多かったです。この2試合ともテレビ中継があったことが共通点でしょうか。

 

ミランの魅力

〈結果〉

3票以上獲得したのは、

①若手選手(とベテランの融合) 14人

②歴史や伝統 12人

③復活へのストーリー 12人

④選手 10人

⑤チーム・ファンの雰囲気 7人

⑥ユニフォーム 5人

マルディーニ 3人

 

〈分析〉

①意外なことに若手選手の多さやベテランとの融合が最も多かったです。ミランはイタリアでもかなり若いスカッドを有しており、若手の成長を楽しむことができます。また、それをイブラ・ジル―・ケアーといったベテラン陣が支えていくのは魅力ですね!

②のCL優勝7回を誇る歴史はやはり魅力ですね。世界の名だたるほとんどのメガクラブよりも輝かしい歴史を持っており、そこに惹かれる人は当然多いでしょう。

③の復活へのストーリーも多かったです。栄光を取り戻すためにチーム一丸(ごく一部を除く)となってリーグやCLに挑む姿はやはりかっこいいですし、ロマンがありますよね。今年のCLも注目です。⑦そしてそれを支えるのがマルディーニというのは胸熱ですね!

④はイブラが中心に挙げられており、またクラブ愛の強い選手が多いことも魅力にあげられていました。⑤は熱いファンに惹かれる人が多かったです。

⑥からもわかる通りやはりユニフォームはミランの強みですね。ロマンを追う集団がかっこいいユニフォームをまとっているのは非常にキラキラしていますね!

 

 

3.アタランタ

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近年大躍進を遂げるアタランタからは14名の方にご回答いただきました!

 

アタランタを応援し始めるきっかけ

応援し始めた時期はほぼ全員がここ数年でした。まあそりゃそうだ。

 

〈結果〉

2名以上の回答の内訳としては、

①近年の躍進 4人

②特定の選手・監督の影響 3人

③攻撃的なサッカー 3人

④特定の試合を観て 2人

 

〈分析〉

予想通り①の躍進が多かったですね。やはり強いチーム、しかもアタランタの場合は地方クラブなのでそこに惹かれた人は多かったでしょう。

②はパプゴメストロイが挙げられました。

③の攻撃的サッカーは、イタリアの中でも際立っているためそこに惹かれた人は多かったみたいですね。④の試合は2試合ともCLのバレンシアであり、③が体現された試合であるともいえるでしょう。

 

アタランタの魅力

〈結果〉

①攻撃的なサッカー 8人

②クラブ規模の小ささ 6人

③クラブの経営スタイル 2人

 

〈分析〉

①は攻撃的サッカーはもちろん、ガスペリーニの革新的なオールコートマンツーマンも挙げられていました。やはりアタランタはサッカーの質に惹かれる人が多いみたいです。

②のクラブ規模の小ささはCLに出る欧州のクラブの中でも数少ないでしょう。数年前まで昇降格を繰り返していた地方クラブが北の3強やヨーロッパのメガクラブに果敢に立ち向かっていく姿は心を打つものがありますし、成果を出せているのも魅力ですよね!

③は無名の有望選手を獲得し、名選手に育て上げてて高く売却する錬金術が挙げられていました!これはビッグクラブでは味わえない魅力ですね!

 

 

4.ユベントス

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前編最後はユベントス。51名から回答をいただきました!

 

ユベントスを応援し始めるきっかけ

時期としては9連覇中が多かったです。フォロワーにはおじさん()が多いですが意外と最近の人も多いのですね。しかし、それ以外の時期もバランス良くいらっしゃいました。

 

〈結果〉

3票以上獲得したのは、

①特定の選手・監督の影響 30人

②サッカーの内容 5人

③特定の試合を観て 5人

 

①は圧倒的にデルピエロが多かったです。やはりクラブの象徴となる選手ですね!その他にもピルロブッフォンマルキージオ・ディバラ・ロナウドなどがいました。意外とロナウドが少ないですね。まあ獲得前からCL準優勝していてファンを確立していていましたしね。

②はイタリアらしい守備の堅さ・泥臭さが挙げられました。ブッフォンをはじめとしたアッレグリ期の堅守に魅了された人が多かったです。また、派手な選手は少ないが走り回るユベントスの泥臭さが好きな人も多かったみたいです!

③2回目のCL優勝時の決勝や、02-03のレアル戦、16-17のバルサ戦が挙げられました!基本的にCLの試合が多いですね!

また、愛車がフィアットとか、近所のクラブの名前がユベントスだったという理由もありました。思わぬ形でクラブとの出会いがあるのは面白いですね。

 

ユベントスの魅力

〈結果〉

①メンタリティ 13人

②選手 8人

③サッカーの内容 8人

④強さ 6人

⑤チームやファンの雰囲気 6人

⑥歴史と伝統 4人

 

〈分析〉

①はFino Alla Fine(最後まで)に代表される最後まで諦めずに戦う姿勢と、勝利至上主義的な価値観が高い支持を得ていました。例え派手な選手がいなくとも懸命に戦い、最後は勝利する。これが歴史的に体現されてきたからこそ惹かれるのでしょう!

②の中で実は一番多くを占めているのは「イケメンが多い」という点、これを投稿する頃にはいなくなってるかもしれないロナウドや、ディバラ・ベルナルデスキ・ベンタンクール・モラタなど、過去のユーべからは想像できないほどイケメンが揃っています。やはり商売であるため顔は大切ですね!

③はきっかけの②と同様泥臭さと守備によるものでした!しかし回答者の中にも近年それがないと嘆いている人も見られましたね笑

④イタリアでは断トツのスクデット回数を誇るだけあって強さが魅力と胸を張って言えるのがユベントスですよね!また、CLもギリギリ優勝狙えなくはないけどまあ取れないという「絶妙な強さ」に魅力を感じている人もいました!

⑤他チームではティフォージの熱さを挙げているクラブが多かったですが、ユベントスではそれよりも選手の仲の良さが挙げられていました。Twitterの練習動画も良い雰囲気ですよね!

⑥は名門アニェッリ家と繋がる格式高さを挙げる人がいました。さすがイタリアの貴婦人ですね!

 

 

5.前編の総評

全体の傾向としてはやはり選手をきっかけにクラブを応援し始める場合がほとんどでした。スターに欠ける近年のセリエAにとっては少し厳しいですが、個性豊かな選手はたくさんいますしEUROで活躍した選手も数多くいるので是非注目してほしいですね!

また、選手ではなくサッカーの内容からも惹かれる人は一定数存在します。監督はかなりスターぞろいのセリエA。是非魅力的なサッカーを展開して観る人を増やしてほしいと思います。

一方、魅力は各クラブ非常に様々でした。特徴をまとめると、

インテル→不安定さやスリリング

アタランタ→サッカーの質やローカル感

ミラン→若手の台頭と名門復活へのロマン

ユベントス→泥臭く勝利を追求するイケメン達

といった感じになりますかね。

ほとんどのクラブが強さを魅力にあげないというEUROで優勝した国とは思えないような内容でしたが、正直強さを求める人はプレミア観ると思うので、強さ以外の上記の要素からも魅力を見出して、ぜひ一度試合を覗いてみてほしいと思います!

 

まあ観る媒体がないかもしれませんが…

 

ご覧いただきありがとうございました。後編もお楽しみに!

 

 

 

 

 

セリエA順位予想アンケートの結果

こんにちは!カルロウです!

 

セリエAはCL圏争いと降格争いが特に加熱していますね!!

 

そこで、今回はTwitterの方で皆さまにお答えいただいた順位予想のアンケートの結果を公開していきたいと思います!!

※某インテリスタの方みたいな緻密なデータ分析は行っていないのでその点はご了承ください。

 

皆さま本当にご協力ありがとうございました!

 

 

1.概略

今回のアンケートはなんと342人の方にご回答いただきました。感謝しかないですね。

 

このアンケートで聞いたことは

 

①回答者の応援しているクラブ

②CL出場の4位以内に入ると思う4クラブ

③降格してしまうと思う3クラブ

 

の3つです。早速、結果を公表していきたいと思います!

 

 

 

2.結果

①贔屓クラブ

これは大体のクラブ毎のファン数の把握と応援しているクラブと回答の関係性を見てみるために募集しました。

 

私のTwitterは比較的セリエAの中でバランスよく様々なクラブの方にフォローしていただいているので、他の人がアンケートをとるよりはバランスよい分布になっていると思います。

 

回答いただいたのは238人です!兼サポの方はどちらにもカウントするのでこの数は超えていますがご了承ください。

 

結果

イタリアのクラブは…

 

インテル 48人

ユベントス 39人

ナポリ 35人

ミラン 33人

ローマ 17人

ラツィオ 13人

アタランタ 11人

フィオレンティーナ 5人

ボローニャ 2人

トリノ2人

サッスオーロ 1人

パレルモ 1人

 

という結果になりました!基本的にはイメージ通りですね!

ナポリは多くのナポリサポーターがリツイートしていただいたので気持ち多めですね!

 

なんとイタリア以外を応援しているクラブの方からもご回答いただきまして…

 

レアルマドリード(4人)・バルセロナ(3人)・アーセナル(3人)・リバプール(3人)をはじめとして…

ユナイテッド・トッテナムエバートンアトレティコバイエルンブラックバーンディナモザグレブなどのクラブの方々やJリーグを応援していらっしゃる方からも数人回答をいただきました!

 

皆さま本当にありがとうございました!!

 

②CL圏争い

ようやく本題に入ります!皆様のCL圏に入るクラブの予想です!

 

アンケートの結果の前に現在の順位だけ整理してみましょう…

クラブ名

試合数

勝ち点

得失点差

インテル

33

79

43

アタランタ

33

68

39

ナポリ

33

66

36

ユベントス

33

66

35

ミラン

33

66

19

ラツィオ

32

61

10

ローマ

33

55

7

 

現在CL圏を争っているのはインテルアタランタナポリユベントスミランラツィオの6クラブです。4位以内が確定しているクラブはありませんが、インテルはほぼ確定です。

 

ローマサッスオーロは数字上可能性はありますが、少し厳しいと思われます。しかし、ロマニスタの方は多いですし、とりあえずアンケートに名前を書いておきました。

 

そしてアンケート結果を見てみましょう…

回答いただいたのは340人です!

 

結果

 

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 基本的に順位通りですね!

 

インテルはほぼ全員、というより投票していなかった方は熱烈なインテルアンチの方と1クラブしか投票していない方だったので実質全員ですね!当然の結果でしょう。

 

2位のアタランタ97.9%。個人的にここまでの得票率は意外でした。2位とはいえ5位との勝ち点差は2です。それにも関わらずここまで得票を伸ばしたということは、最近の好調ぶりと底力を評価されているのでしょうか。

 

ナポリ83.8%とかなり多くの票を獲得。ここ数試合の好調ぶりと、残りの対戦カードが比較的楽であるということが要因として挙げられます。しかし、5位ミランと勝ち点は同じなので確実視はできないですね。今後が注目です。

 

次に分かれたのが勝ち点が同じのユベントスミラン。4~50%程度の得票率です。

 

少し多かったのがユベントス。戦力でいえばいまだにリーグで1位といえるでしょうし、もちろん9連覇の実績もあります。しかし、勝ち点が同じのナポリと比較してここまで差がついたのは、ここ1年の不安定な内容が相当不安視されているということでしょうか。

 

ミランはここ最近思うように勝ち点を伸ばせていないことから順位としては5番目に。確かに不安定ですし、ピオーリの過去のやらかしもあって得票は伸び切りませんでした。しかし、何かの拍子にかみ合うと強いことはシーズン前半で証明されているので今後に注目ですね!

 

1試合少ないながらミランとの勝ち点差が5のラツィオは24.1%。ミランとの直接対決に勝利するなど最近はかなり調子が良いですね。しかし、勝ち点66の3クラブほどは選手層が厚くないため、ひと踏ん張りが必要です。ただ十分可能性はありますね!

 

ローマの6票のほとんどはロマニスタからの投票でした。ファンの鑑です。しかし、ローマはまだELで優勝すればCLの出場権を獲得できるので、そちらの方に全力を尽くすでしょう。

 

参考

・最も多い組み合わせは

インテルアタランタナポリユベントスの110票で、次にインテルアタランタナポリミランの93票。3番目はインテルアタランタナポリラツィオの74票。

つまり、インテルアタランタナポリの3つを選んで、それ以外をユーべ、ミランラツィオから選ぶという形が主流となっていました。

 

サッスオーロはまだ可能性はほんのわずかに残ってはいますが、0票でした。

 

・基本的に、自分の応援しているクラブに投票している人が多く、

インテルナポリアタランタのサポーターは全員が自分のクラブに投票していました。

一方、ミラニスタは5人、ユベンティーノは1人、自分のクラブに投票していない方がいました。

 

インテリスタのうち半数近く(22人)はインテルアタランタナポリラツィオに投票していました。絶対にミランユベントスには入れないぞという意地を感じます。

ミラニスタユベントスに入れる人は9人(27%)しかおらず、ミランを入れると他の選択肢はインテルアタランタナポリになってしまうからなのか、それとも純粋に(以下略)。

 

・サンプル数が少ないですが他リーグサポーターの方はユベントスに投票していない方が多かったです。やはりユベントス不調のニュースは耳に届きやすいのでしょうか。

 

③降格争い

今度は降格争いを見てみましょう。まずは現在の順位表です。

 

クラブ名

試合数

勝ち点

得失点差

フィオレンティーナ

33

34

-12

スペツィア

33

33

-20

トリノ

32

31

-10

カリアリ

33

31

-17

ベネヴェント

33

31

-29

パルマ

33

20

-34

クロトーネ

33

18

-41

 

パルマクロトーネは現実的に降格の可能性が高そうです。

残りの一枠は上記の5クラブが巻き込まれているという感じですね。この上はジェノアが36点、ボローニャが38点と続きます。

 

それでは投票結果を見てみましょう。

336人の方から回答をいただきました!!!

 

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※「その他」が何種類かあって見づらかったので先ほどとは違う形式のグラフを使用しています。

 

こちらは実際の順位とはかなり違っていますね!

 

やはりクロトーネ・パルマはほとんどの票を獲得しています。割合でいうとクロトーネは92.9%パルマ85.1%を獲得しています。

 

「残りの一枠」として最も票を集めたのがフィリッポ・インザーギ率いる18位べネヴェント。55.7%の票を獲得しました。やはり勝ち点が同じのトリノカリアリと比べると戦力的には落ちますし、1か月前のユベントス戦を最後に勝てていないことが印象として悪かったのだろうと思います。

 

次に票を集めたのは、べネヴェントより勝ち点が2多い15位のスぺツィア。得票率は25%でした。スぺツィアは戦力的には恐らく最下位ですし、シーズン途中までホームスタジアムを使えなかったことを考えると、イタリアーノ監督のもと健闘していると言えます。しかし、すぐひっくり返されてしまう順位にいるので全く油断はできません。

 

次は17位のカリアリ。得票率は23.5%。ディ・フランチェスコ監督の下、下位に沈むとは思えないタレントを有しながらも大苦戦していたカリアリ。しかしセンプリチ監督が立て直し、怒涛の3連勝と残留ブーストを見せています。

 

16位のトリノは14.3%と、勝ち点がべネヴェントと同じにも関わらず低い得票率。こちらもベロッティをはじめ下位にいるようなタレントじゃないですからね。今後の残留ブーストに期待です。

 

フィオレンティーナはわずか12票と安全圏と予想されていました。そもそもなぜこんな順位なんでしょうか。再登板したイアキーニ監督、このメンツと財政規模で降格は許されないですよ。しかし、降格圏と勝ち点は3差と普通に危ない位置です。

 

参考

・こちらの組み合わせでは、クロトーネ・パルマ・べネヴェントの組み合わせが139票が圧倒的。続いてクロトーネ・パルマカリアリが46票。クロトーネ・パルマ・スぺツィアが42票でした。

やはり基本的にはクロトーネ・パルマとあともう一つという選び方でしたね。

 

 

・降格争いにおいては、そもそも該当クラブのファンがほとんど投票に参加していないため傾向としては掴みにくいのですが、フィオレンティーナのサポーターは誰一人としてフィオレンティーナに投票していませんでした。

 

・「その他」の8票なんですが、

そのうちユベントスが4票。ローマが2票でした。

 

ユベントスインテルミランナポリのファンという幅広い支持層から票を獲得。

ローマに投票した人は2人ともラツィアーレで、降格理由は破産だそうです。

インテルにも入れている人いましたが、それも破産が理由だそうです。

 

「破産」っていうことにして少しリアリティ持たせているの面白いですね。

 

 

3.最後に

いかがでしたか?

以上がアンケート結果になります!振り返ってみると面白いですね。

 

改めて、皆さまご協力ありがとうございました!!!

 

 

セリエAの観客動員とスタジアム

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DAZNを適当にザッピングしてると、セリエAの試合がやってます。

暇だし見てみるかー!とクリックします。

すると目の前にはガラッガラのスタジアムが!

「やっぱりセリエAは昔ほどは元気ないし観客も少ないんだろうなぁ」

と考えるのは自然です。(まあこれは違うんですけど※後述)しかし、リーグランキングでセリエAより下のブンデスリーガを見てみると…

どこも満員だ!と思いますよね。

ここで一つの疑問が生まれます

「なんでセリエAのスタジアムってこんなにガラガラなの?」

実はこの問題、思っている異常に様々なファクターが絡んでいます。

ということで今日はセリエAの観客数の少なさについて語っていきたいと思います

 



0.観客動員数は?
確かにガラガラな印象はあるけど、実際にセリエAはどれくらいガラガラなの?

と不思議に思うかもしれません。ということで「CIES」が発表している各リーグごとの2013-18の5年間の平均観客数を見てみましょう。

 

1位 ブンデスリーガ 43,302人

2位 プレミアリーグ 36,675人

3位 リーガ・エスパニョーラ 27,381人

4位 リーガMX 25,582人

5位 セリエA 22,967人

 

メキシコリーグより少なく、ブンデスの半分…

しかも最新の統計ではサッカー熱が上がっている中国の超級リーグにも抜かれています。さすがにヨーロッパ以外のリーグに抜かれるのは寂しいですね…

 

では、なぜそんなに少ないのでしょうか?

一つずつ分析していきましょう!!!

 

 

A.スタジアム問題

観客が試合を観るスタジアムがちゃんとしていないと、そもそも観客が来なかったり、リピーターにならなかったりします。イタリアのスタジアムは様々な問題を抱えています。順に見ていきましょう。

 

⑴.スタジアムの設備

①スタジアムの老朽化

セリエAのスタジアムは、改修しているとはいえ古いものが多いです。ほとんどのスタジアムは戦前に作られたものが多く、中下位や地方のクラブは1990年のイタリアW杯前後以来改修をしていないものが多いです。例えば…

Stadio Luigi Ferraris(ジェノアサンプドリア

  1911年開業 1989年改修

Stadio Ennio Tardini(パルマ

  1923年開業 1993年改修

Stadio Renato Dall'Ara (ボローニャ

  1927開業 1990年改修

Stadio Artemio Franchi(フィオレンティーナ

  1931年開業 1990年改修

Stadio Olimpico(ローマ・ラツィオ

  1937年開業 1990年改修

Stadio Via del Mare(レッチェ

  1966年開業 1985年改修

Stadio Marc'Antonio Bentegoti(ヴェローナ) 

  1963年開業 1989年改修

 

スタジアムが古いともちろん設備の質が劣り、客足も遠のきます。確かにボローニャのダッラーラのように古さによって味が出てくるスタジアムもありますが、彼らも改修計画があるように、やはり古さは大きなDisadvantageに違いありません

 

しかし、スタジアムの客足とスタジアムの新しさって関係あるんでしょうか?去年1年間のスタジアムがどのくらい埋まっているのかと改修時期の相関性についてみてみましょう。(データミスってたら申し訳ございません)

※観客動員数のデータの引用元(https://www.transfermarkt.com/serie-a/besucherzahlen/wettbewerb/IT1/plus/?saison_id=2018

ベスト5

ユベントス 94.5%  開場2011年

カリアリ  90.4%  開場2017年(予備のスタジアム)

SPAL             84.0%   改修2018年

フロジノーネ81.8%  完成2017年

ウディネーゼ80.8%  改修2016年

 

ワースト5

キエーヴォ 39.5%  改修1989年

ラツィオ  45.9%  改修1990年

エンポリ  47.8%  開場1965年

ナポリ   52.3%  データには反映されないが今季前に改修

ローマ   52.7%  改修1990年

 

確かに新しいスタジアムはより近年の観客動員数をもとにしてスタジアムをつくっているため一概には言えませんが、近年改修したクラブのほとんどは観客動員数を伸ばしていますし、ここまで露骨に出るとさすがにスタジアムの新しさと相関があることは否定できないと思います。

 

②観客席とピッチが遠い

 ダイナミックで迫力満点のプレミアリーグとは違って、セリエAのスタジアムには、陸上トラックがついてるのも多く、観客席とピッチの距離が全体的に遠いといえます。例えば、一番上に貼った画像を見てみましょう。これはローマとラツィオという2つのビッグクラブを抱えるStadio Olimpicoなんですが、ピッチと観客席の間に陸上トラックが存在するのがよくわかりますよね。またセリエA屈指の強豪ナポリのホームスタジアムStadio San Paoloも陸上トラックが存在します。ビッグクラブでさえそうなのですから、他にもたくさんあります。例えば冨安の所属するボローニャのStadio Renato Dall'Araを始め、Stadio Marc'Antonio Bentegoti(ヴェローナ)やStadio Artemio Franchi(フィオレンティーナ)の一部などは非常にピッチと観客席の間に距離があります。高いお金を払っても席が見づらいのならテレビで見ようかってなりますよね。

 

③サッカー専用スタジアムの必要性

「なぜこんなにもピッチと観客席の距離が遠いのか」「なぜ陸上トラック付きのスタジアムが多いのか」に関しては、セリエAがクラブ所有のサッカー専用スタジアムが少ないことが第一の理由に挙げられます。それならばクラブ所有のスタジアムを建てればよいのですが、それにはそれ相応のお金が必要となるだけでなく、自治体からの許可を得る必要もあるためなかなか簡単にはいかないのです。また、事実確認はとれてないのですが面白い話としてローマは歴史的遺産が多く、地面を掘ると遺跡が出てくるためになかなか場所がないといった話も聞いたことがあります。

 

 ⑵スタジアムの治安

スタジアムが危ない場所だと、お金を持っているとされる観光客や子供連れなどが行きづらくなるのは想像できますよね。かつてサッカー界には「フーリガン」と呼ばれる人々がいたのは皆さんもご存じだと思います。彼らの多くが労働者階級で、ひどく酔っぱらってスタジアムに入って暴れだす…「ヘイゼルの悲劇」なんかは非常に有名ですね。この悲劇以降各国はフーリガン対策に取り組み、そのような明らかに危ない人々はいなくなりました。しかし現在でも、集団心理が働くのかもしれませんが、"熱狂的"なサポーターが相手選手に暴言を吐いたり相手サポーターともめごとになることは頻繁にあります。イタリアももちろん例外ではなく、特にローマダービーという仲の悪いクラブ同士の対決だと、暴力沙汰になるのはよくあることです。

 

また皆さんご存知の通り、最近は人種差別チャントセリエAがクローズアップされることも多いですね。このような状況ではスタジアムに行きたくないと感じても不思議ではありません。

 

B.渋るサポーター

イタリア経済の不振

一度でもJリーグの試合を観に行ったことの方はおわかりだと思いますが、サッカー観戦にはとにかく金がかかります。なのでお金の持っていない人だと必然的に毎試合行くのは厳しくなります。現にイタリア・スペインといった経済状況の不安定な国より、イギリス・ドイツといった経済的に安定した国(最近は雲行きが怪しいが)の方が入場者数が多いのがわかると思います。

 

現在経済危機をなんとか乗り切ったイタリア経済はゆるやかな回復傾向にあるとされていますが、基本的に経済成長率は欧州全体の平均を下回っています。財政基盤がぜい弱なイタリアはEU諸国の中でもかなり経済が不安定な国の一つで、いち早く景気後退に向かうとみられています。

 

  現在イタリアの失業率はおおまかにいえば約10%、若者の失業率に限って言えば約40%にもなります。このような状況の中、設備もいいとは言えないスタジアムに足を運ぶ人は少ないでしょう。

 

 

【参考】イタリアクラブの不振

皆さんはおそらくこれが最も大きな原因だと思うでしょう。実はこれは数字だけみるとそれほど大きな問題でもないんです。セリエA没落の大きな原因であるカルチョポリ以前の2004-05年シーズン(イスタンブールの奇跡の年)と昨年の20クラブの平均観客動員数を比較してみると…

2004-05→25,564人、2018-19→25,051人

意外なことにほとんど変わってないですね。では他のリーグを見てみましょう!

プレミアリーグ

2004-05→33,939人、2018-19→38,188人

リーガ・エスパニョーラ

2004-05→29,789人、2018-19→27,092人

ブンデスリーガ

2004-05→37,824人、2018-19→43,467人

 

これを見ると、プレミアとブンデスが大きく伸ばしているのに対し、セリエA・リーガは減少しています。これは上で述べたスタジアム・国内経済においてうまくいっているプレミア・ブンデスとうまくいっていないセリエA・リーガがきれいに結果として出ているってことです。

 

人々は所属クラブが極端に不調でなくてお金と環境さえあればスタジアムに行きたいのです。いかにピッチ外の環境整備が大切なのかを思い知らされますね。

 

D.上手くいっているクラブ

上手くいっているクラブはいくつかありますが、今回はウディネーゼをピックアップします。ウディネーゼは明らかにスタジアム改修で観客動員数を伸ばしたクラブです。

 

2013/14 14135人

2014/15   9015人

2015/16 15885人(1月に改修)

2016/17 17287人

2017/18 17633人

伸びてますよね!!

そして昨年は20,329人を動員しました!!!

 

このようにスタジアムの大幅改修をすることでウディネーゼは人口10万人程度のホームタウンでありながらも安定した観客動員を達成したのです。

 

なんとさらにウディネーゼはスタジアムを多目的化するために複合施設の建設を進めているそうです!ユベントスアリアンツ・スタジアムはそれで大きく収益を上げたので期待ができますね!!

※参考

https://www.thestadiumbusiness.com/2019/07/16/udinese-stadium-revamp-bring-public/

 

 

E.最後に

いかがだったでしょうか?

全体的にみるとやはりスタジアム改修は観客動員に効果的(キャパシティも身の丈に合う)ですし、スタジアム改修はFFPに影響がないみたいなのでぜひやっていただきたいですね!

 

しかしイタリアのクラブはお金がないから難しい。しかしスタジアムがないとお金も入って来ません。この問題は解決が難しいですが、ファンとしては観客で埋まるスタジアムを見ていたいですね!なぜイタリアにお金がないのかは過去の記事をみてください(最後に宣伝)。読んでいただきありがとうございました!

https://calcitappi.hatenablog.com/entry/2019/07/17/211015

 

 

ダヴィデ・アストーリと僕

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先日、「彼」が訪れたことのある下北沢に降り立つと、ふとあの日の記憶が蘇った。

 

 

 

 

2018年3月4日

 

長い長い浪人の1年が終わり解放感を味わっているものの、知りたいのか知りたくないのかわからない第一志望の大学の合格発表を待っている不安定な夜。いつも通り何気なくTwitterを漁っていると、ある知らせが目に飛び込んできた。

 

ダヴィデ・アストーリ急逝」

 

あまりにも現実味のない知らせのせいか、何の感情も湧いてこない。悲しい知らせなのに悲しみを感じない。つい先週までプレーしていた選手がこの世からいなくなることが信じられなかったのだ。しかしある程度時間が経ち、それが現実として受け入れられるようになるにつれて、喪失感と恐怖が胸の中にこみあげてきた。

 

 

正直なことを言うと、僕は彼のファンでも、ましてやフィオレンティーナのサポーターでもない。もちろん彼を良い選手として認識はしていたが、彼の出ていた試合を観ても「フィオレンティーナの一選手」としか見ていなかった。彼への愛着や死への悲しみならばフィオレンティーナ・ローマ・カリアリのサポーターの方がはるかに強いだろう。だが、間違いなく彼の死は僕の心の中の何かを変えた。今ブログに綴っているのもそれがようやく何であるかがわかってきたからかもしれない。

 

 

 

ただ当時でさえ、彼の死は僕にとって「何気なく見ていた一選手が突然いなくなる」だけのものではなかった。もちろんそれは僕が普段から気にかけていたセリエAの選手だったからというのもある。しかし何より「30歳前後のスポーツ選手が突然亡くなる」という事実そのものが僕を襲ったからだ。彼はスポルティエッロとゲームに興じた翌日の朝に、何の兆候もなく心臓発作で亡くなった。スポーツ選手が若くして亡くなる原因は事故が多いため、彼が心臓発作という病気で亡くなったという事実は僕にかなりの衝撃を与えた。「健康体そのものであるサッカー選手でさえ病気で急死するのだから僕も簡単に…」とここまで身をもって実感したのは初めてであった。当時不安定な精神状況であった僕の心をさらに揺さぶっただけでなく、受験勉強の終了から享受していた大きな解放感も明日失われるかもしれないと感じた。この儚さを実感したからか突然身の毛がよだち、上記のような喪失感と恐怖がこみあげてきたのだ。

 

 

 

彼の死から数日経つと、チームメイトや関係者から彼の人柄やエピソードが少しずつ掘り返されていった。しかしどのエピソードも彼の人柄の良さや謙虚さを裏付けるようなものだった。確かに人が亡くなった後は良く言われがちだが、チームメイトや関係者から出る彼への言葉や思いは全て日頃からリスペクトしていないと出てこないようなものであった。彼の死から2年が経過した現在でも彼のことを悪く言う人がいないことがそれの何よりの証拠だろう。

 

このような周囲からの彼への愛を見ていると、果たして自分はどうなのかと徐々に考え始めるようになった。「今」の自分を切り取ったとして、周りから愛され、リスペクトされるような人間になっているのだろうか。自分が「今」終わったとしても、周りの人が僕を思い出す時は心地よい記憶がフラッシュバックしてくるのだろうか。もちろん僕はただの一般人なので街中から愛されるわけではないが、少なくとも僕を知る人だけには愛されるようになりたいと感じるようになったのだ。

 

 

 

さらに、彼の死の直後に感じたあの「儚さ」に対しても色々と考え始めるようになった。その中で仕切りに思うことの一つとして「今死んでも良いと思えるようにしよう」ということだ。もちろん長生きしていたいが、万が一急に生を奪われそうになった時、果たして自分は後悔がないのか。大学生がこんなことを考えるなんて早すぎると思われるかもしれないが、彼の死からいつ何が起こるかわからないと感じた僕にはそれは関係ない。果たして「今」で終わっていいのか。今でも時折それが頭によぎる。

 

 

この2つの点で共通しているのは「今」を切り取っているということだ。僕は少しずつ「今」への執着を持てるようになったのだ。僕は怠惰な人間であり、今も基本的にはそうであるが、この日以来自己研鑽に努める日が明らかに増えた。今までには考えられなかったが、空いた時間に勉強するようになった。結果的に英語が足を引っ張って第一志望の大学に落ちてしまったのだが、その勉強のおかげか英語への学習意欲が上がり、今では英語が得意になっている。彼の死が確かに僕を変えたのだ。

 

 

 

確かに僕が学んだことは、特に大人の皆さんにとっては陳腐なことなのかもしれない。しかし僕は間違いなく彼の死によって身を以て実感したのだ。これは彼からのメッセージだったのだろう。彼に対する思い入れはフィオレンティーナ・ローマ・カリアリのサポーターよりは弱いだろうが、彼の死から感じたこと・変わったことを忘れない限り、間違いなく彼は僕の心の中で生き続けている。

 

 

 

 

僕はほのかな儚さを感じながら心の火を灯し直し、下北沢の地を離れた。

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(下北沢を訪れるアストーリ)

 

 

 

 

 

カルチョ熱の源泉「カンパニリズモ」

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どうも!カルロウです!

久しぶりのブログ更新となって申し訳ございません。

さて今回もイタリアに行ったことのない僕がイタリアの文化を偉そうに語るブログがやってきましたね()

 

今週末ミラノダービーが行われます。また先日にはローマダービーもありましたが、とても白熱した戦いとなりました。

 

またローマダービーに関したことといえばローマダービーは世界でも有数の仲の悪いダービーでもあります。2013年に行われた試合で押収されたものにはこんなものが…

 

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え、戦争!?

ローマっ子は文字通り命をかけてダービー観戦に行ってるのですね。

 

ではなぜこんなにもイタリアサッカー界においてダービーは白熱するのでしょうか?実はそれはイタリア人の根底にあるCampanilismo(カンパニリズモ)という価値観が関係しているのです…

 

 

①カンパニリズモとは?

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Campanilismo(カンパニリズモ)はしばしば「郷土愛」と訳されます。これはCampanileという鐘楼(鐘のついている塔)が語源となっております。人々は昔から自分の町の教会の鐘の音を聞いて生活しています。しかしこの鐘の音は街によって様々です。そのため鐘楼が自分の街のシンボルとして作用するのです。このようにして「街のシンボルとしてのCampanile」からこの言葉が生まれました。

 

例えば世界中から大人気の観光都ヴェネツィアだと、サンマルコ広場にある鐘楼は有名ですよね。ヴェネツィアに行ったことない僕でも知っているほど、ヴェネツィアの人にとってCampanileは街のシンボルとして作用しているのです。

 

先程カンパニリズモの訳語として「郷土愛」を当てました。しかしこれには自らの街を愛することはもちろん、他の街への憎しみや羨みも混じっています。「ふるさとはいいなぁ…」ではなく「俺の街がナンバー1!異論は認めない」といった感じでしょうか。

そのため、通常の郷土愛は肯定的なコンテキストで用いられることが多いですが、カンパニリズモは否定的なコンテキストで用いられることも多いそうです。

 

イタリアの歴史を知っていればそうなるのも無理がないことがわかると思います。イタリアが統一されたのはたった150年前の1870年です。中世からそれまで基本的にはずーっと「別の国」としてやっていたわけです。その中でも特に中世は町の多くは城壁に囲まれてるわけですもんね。それでは仲間意識なんて生まれません。

さらに、統一されて国民国家となった後も文化的な統一は遅れました。そのため、国としての帰属意識(僕はイタリア人)よりも地元としての帰属意識(僕はフィレンツェ人)が強まってしまったそうです。そういえばDAZNの北川さんも「イタリアでは代表戦はお祭りみたいなもん。負けてもそんなに批判されない」と言ってましたね。

 

 

②サッカーとカンパニリズモ

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ただそんなカンパニリズモも個々人の移動が活発化するなどのグローバル化によって弱まって行きます。しかしそんな中でも未だにカンパニリズモが色濃く残っている分野があります。そう、カルチョ(サッカー)です。ユベントスインテルなどの世界的ビッグクラブは少し違うかもしれませんが、プロビンチャと呼ばれる地方サッカークラブにおいては、その選手達はおらが町の代表なのです。これらのことからイタリアには地域密着型のクラブが多いことは想像つきやすいでしょう。

 

例えば近年成績優秀で現在CLベスト16に残るほど快進撃を見せているアタランタ。彼らのホームタウンベルガモはミラノからほど近い人口12万人の小さな都市。街の規模的に彼らが世界的メガクラブになるには難しいでしょう。そのため、彼らはしっかりと地元のファンを定着させるために様々なことをやっています。特に強烈なのは、生まれた赤ちゃん全員にアタランタのユニフォームを配っていることでしょう。そんなことされたら嫌でもアタランタファンになりますよね笑。そのおかげもあってかベルガモではほぼ100%がアタランタのファンになっています。

ELやCLでホームスタジアムが規定を満たせず使えなかった時、ELではサッスオーロのマペイ・スタジアムまで、CLではミラノのサン・シーロまで大勢のファンがベルガモから詰め掛けていたが印象的でしたよね!彼らは自分の店を閉めてまで愛するクラブを遠路はるばる応援しに行くのです。

 

この話は下記のDerby Daysより抜粋しました。

 

 

 

③カンパニリズモの魅力

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カンパニリズモの魅力は先程言った地域密着の他、デルビー(イタリア語でダービー)の盛り上がりにあるでしょう。どこの国もダービーマッチは盛り上がります。しかしイタリアではそこにカンパニリズモが加わってより一層白熱します。今日はデルビーを1つピックアップして紹介します。

 

アタランタvsブレシア

アタランタブレシアのダービーに関してはこのDerby Daysの特集をご覧いただければわかると思います。(引用元です)

https://m.youtube.com/watch?v=pGVqT5bjBJA

 

 

これが最も典型的といえるカンパニリズモによって白熱するデルビーでしょう。

 

ベルガモ(アタランタの本拠地)とブレシアはどちらもミラノにほど近い工業都市。お互いの人柄も方言も多少の違いはあれど似ています。やはり近くに似た性格のクラブがあれば負けたくないのは理解できますよね。

 

さらにこのデルビーに固有するのが歴史。ベルガモブレシアという街は900年前の戦争から敵対関係があるそう。1156年にブレシアベルガモにほど近い都市に侵攻したのがきっかけだとか。そのいわば街同士の抗争がなくなった今でもサッカーには残り続けているわけです。

 

1990年代にはサポーター同士で抗争が起こって試合が延期になりましたが、何よりも特筆すべきは2001年9月30日のデルビー。

その日もデルビーらしくブレシアマッツォーネ監督にはヤジが飛ばされていました。後半ロスタイムにブレシアバッジョが同点ゴールを決めると、マッツォーネ監督は喜びを爆発させるだけでなく、アタランタのウルトラスの元へと猛ダッシュ。慌ててスタッフが止めようとするもそれを振り切り、ウルトラスの目の前で渾身のガッツポーズ。いや、アデバヨールかよ…もちろんアタランタのサポーターはこれに激怒。

これ以降、マッツォーネ監督はアタランタの目の敵となりライバル関係もさらに過激になりました。

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このように、カンパニリズモが根付くイタリアではデルビーの敵対関係がさらに過激になり、良く言えばとても盛り上がるものになるのです。

 

後3つほど軽く紹介しておきます

ローマダービー(ローマVSラツィオ

首都ローマを2分するローマダービー。歴史的にカルチョの中心はローマではなく常にミラノだったため、ローマっ子の関心はスクデット争いよりもこのデルビーに。よく「危険なデルビー」と言われるのは従来のカンパニリズモに加え政治的な要素が絡んでるからです。気になる方は是非調べてみてください。

 

ヴェローナダービー(エラス・ヴェローナVSキエーヴォ・ヴェローナ

 イタリア北東部のヴェローナの2クラブのデルビー。ホームスタジアムは同じですが、スクデット経験もありファンも熱狂的なヴェローナと、2000人の地区が拠点でファンも温厚なキエーヴォとのコントラストが面白いデルビーです。

 

トリノダービーユベントストリノ

トリノを拠点とする2クラブのデルビー。セリエA最多優勝を誇る世界的メガクラブのユベントスと、かつて「グランデ・トリノ」と名をはせた古豪のトリノグローバル化したクラブと地元から支持の厚いクラブのデルビーはイタリアではここだけです。

 

デルビーに関しては小川光生さんの『サッカーとイタリア人』をご覧いただくとわかりやすいです。

 

④カンパニリズモの負の側面

しかしこのカンパニリズモもマイナスに働くこともあります。それは地域差別です。カンパニリズモの価値観は残念ながら排外主義の思想との相性が良いのです。

 

イタリアでは南北問題が根深く、北の人間が南の人間を馬鹿にすることもあります。そのため例えばFIGC(イタリアサッカー連盟)はTerritorial Dislrimination(地域差別)に当たるとしてナポリ人への差別チャントを禁止しています。しかし、2018年のアタランタVSナポリ戦の直前、アタランタのウルトラスがそれに反抗する声明を出しました。その際に彼らが言ったのが

 

"我々は差別主義者ではない。それ(差別チャント)はカンパニリズモだ"

 

このように、郷土愛から来る相手への憎しみの感情が差別へと繋がってしまうのです。よくイタリアでは人種差別が横行しているという記事を見かけると思いますが、人種間だけでなく地域間でもよくある話なのです。

 

またデルビーのような近い地域間での対立でも、日本人からすると人格否定とも取れるような汚い言葉でのチャントもよくあります。この場合不思議なのは人種差別との対比です。一般的に人種差別は相手に対する「差異」や「未知」といった恐れから行われることが多いですが、このような場合は先程の「差異」と、「同一性」「既知」が入り混じる対立なのです。

 

とりあえず言えることとしては、地域間の対立が盛り上がりに繋がることは素晴らしいのですが、差別に繋がったら元も子もないということです。しかし、日本人の感じる「からかい」と「差別」の線引きと、カンパニリズモの染み付くイタリア人のそれとは良くも悪くもだいぶ異なるのかもしれません。

 

⑤最後に

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イタリアにはたくさんダービーがあります。ミラノダービーローマダービートリノダービージェノヴァダービーヴェローナダービー、ロンバルディアダービー、エミリアロマーニャダービーetc…軽くあげただけでもこれくらいあります。今回はこれらの根本に繋がる価値観のカンパニリズモについて触れましたが、そこに繋がる歴史や文化を調べても面白いと思います。

 

ということで日本時間2月10日午前4時45分キックオフのイタリア最大のデルビー、ミラノダービーをお楽しみに!

 

(今回このブログを書く上でめちゃくちゃ調べて書いているんですけど最近その雰囲気や実感などを伝えられないという「現地に行っていない限界」を感じてきたなぁ)

セリエAの1強問題をわかりやすくまとめてみた

初心者が海外サッカーを観始める時、セリエAを選ぶ人は少ないでしょう。ではなぜ少ないのか?色々な理由があると思いますが、大きな理由として…

 

セリエA?どうせユベントスが優勝するんだろ⁉︎」

 

その通りです。現在ユベントスセリエAを8連覇しています。これはセリエA史上最長の連続優勝です。その8連覇も、シーズンによっては序盤から独走ってのもしばしば。これじゃ面白くないと思う人がいても不思議ではありません。ですが…

 

「どのくらい強いの?」

「なんでこうなったの?」

「どうすればいいの?」

 

といった疑問が起こるのは自然です。特に普段あまりみていない他のリーグのファンにとっては不思議ですよね。

 

極端な1強リーグの形成には

①1位のクラブが良くなった

②他のクラブが悪くなった

の2つの要素が両方揃い、さらにその現象が

⑴ピッチ内

⑵ピッチ外

の両方に現れる必要があります。

 

今回の場合だと

ユベントスが強くなった

②ミラノ勢が弱くなった

に置き換えられます。ミラノ勢である理由は、ユベントス1強体制の前に強かっただけでなく、過去の実績・ファンの多さ・世界的認知度といったブランド力の観点で、ユベントスに対抗・凌駕できる力があるからです。それでは、1つずつ疑問に答えていきましょう! 

 

 

 

1.どのくらい強いの?

本題に移る前に、まずこの質問に答えましょう。

⑴ピッチ内

前述の通り、ユベントスセリエAを8連覇しています。これはセリエA史上最長で、他のリーグと比較しても異常であることは明らかです。参考がてらにこの5年間の勝ち点を比較すると…

 

ユベントス→448点

ナポリ→401点

ローマ→380点

ラツィオ→324点

インテル→304点

ミラン→273点

 

圧倒的ですね。ピッチ内の強さは言うまでもないでしょう。

 

 

⑵ピッチ外

ではピッチ外ではどうでしょうか?まずクラブの規模を把握することが大切です。ということで、セリエAのビッグクラブの今年度のクラブの総年俸を比較してみると…

 

ユベントス→2億9400万€

インテル→1億3900万€

ローマ→1億2500万€

ミラン→1億1500万€

ナポリ→1億300万€

ラツィオ→7200万€

 

もう笑っちゃうくらい圧倒的ですね。ちなみにかの有名なクリスティアーノ・ロナウド3100万€の年俸を貰っています。これはウディネーゼ・SPAL・ブレシアヴェローナのチームの総年俸を超えてしまいます。それで番狂わせ起こせってのも厳しい話です。

 

 

 

2.どうしてこうなったの?

答えは簡単です。イタリアではユベントスだけが的確な時期に的確に補強し、監督が的確に指導したからです。

 

⑴ピッチ内

まず「監督が的確に指導した」の部分、つまりピッチ内ではどうでしょうか?

 

ユベントスが強くなった

2010-11シーズン、ユベントスはまだカルチョポリの打撃を引きずり、シーズン7位・ELではグループリーグ敗退と低迷していました。鬱屈した雰囲気の時は、まず選手のマインドセットを変えるような監督が必要です。そこで招聘されたのが、クラブのレジェンドでまだアントニオ・コンテでした。彼の練習はとてつもなく厳しく、さらに彼自身も超熱血であり、まさに「泥臭いユーベ」「Fino alla fine」を体現するチームとなりました。コンテ率いるユベントスは、他のライバルクラブの経営不振にも乗じて、セリエAを一気に3連覇しました。

 

次に就任したのは、カリアリで名を挙げたマキシミリアーノ・アッレグリ。就任当初は懐疑的な見方も多かったですが、PSGやプレミアのように大金を使った補強が出来ないユベントスにとって、現有戦力を上手くやりくりして結果を出せるアッレグリは最高の監督でした。就任初年度にセリエA4連覇を達成し、CL準優勝も達成しました。

 

②ミラノ勢が弱くなった

一方他のクラブはどうでしょうか。当時、スクデットの最大のライバルはインテルミランでした。

 

インテルは2009-10シーズンの3冠メンバーが高齢化し、完全にサイクルの転換に失敗。結局2018-19シーズンまでCLの舞台に返り咲くことは出来ませんでした

 

ミランはとにかく財政難で、2012-13シーズン前にイブラヒモビッチアゴシウバという2大巨頭を放出して以降はスクデット争いになかなか絡めなくなってきました。

 

 

⑵ピッチ外

ユベントスが強くなった

ユベントスはコンテを招聘した2011年の9月に、イタリアで初となるクラブ専用スタジアムの「ユベントス・スタジアム」を完成させます。このスタジアムは収容人数は40000人強と少ないですが、派手なショーアップもピッチとスタジアムが近いことで人気が高く、チケット収入は前のスタジアムの時の3倍、前年度の4〜5倍にまでなりました。

 

さらに専用スタジアムには、サッカー以外の用途でのスタジアムの利用料もクラブ収入となりますのでどんどん収益を伸ばしていきました。もとからあるブランド力も大きかったですね!

 

スタジアムなどのユベントスの経済的な話はこちらに詳しく記載されております

https://www.goal.com/jp/news/1867/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2/2016/10/30/28990412/%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%A4%A7%E8%B5%A4%E5%AD%97%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%A6%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8F%8E%E7%9B%8A%E3%81%AF6%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%A7%E5%80%8D%E5%A2%97%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0

 

②ミラノ勢が弱くなった

一方インテルミランはどうなのでしょうか?

この2チームは2000年代に結果を残した一方で、収支を無視した大型補強を繰り返し、毎年多くの赤字を記録していました。このような放漫経営のツケが2010年代に回ってきたのですね。

 

さらにミラノ勢の財政に大きなダメージを与えたものがあります。そう、2011年に導入されたFFP(Financial Fair Play)です。

 

FFPが導入されると、赤字経営のクラブは財政再建のために高額な年俸を貰う主力選手の売却に迫られます。

 

インテルは2011-12にエトーを、翌シーズンにはマイコンルシオ・ジュリオセーザルを売却。2013-14シーズン後にはサネッティの引退に加え、カンビアッソ・サムエル・ミリート・キヴといったレジェンドを放出せざるを得なかった。

 

ミランも同様に、2011-12シーズンはピルロユベントスに、2012-13シーズンにはイブラヒモビッチ・チアゴシウバ・ガットゥーゾネスタセードルフファンボメルインザーギザンブロッタといった正真正銘のレジェンドを泣く泣く手放します。

 

両クラブともこれらの代わりに安価で優秀な選手を獲得しましたが、レジェンドクラスの彼らには遠く及ばず、CL争いからもとうとう脱落してしまうのです。

 

このように、ピッチ内・ピッチ外で盤石な体制を築いたユベントスは、ナポリやローマといった南イタリアのクラブの台頭を圧倒的な戦力で退けていきました。

 

 

 

3.ではどうすればいいの?

解決策を実行するには、抽出された根本原因を打ち消すものでなくてはなりません。

 

そしてこれもまた、

ユベントスを弱くする

②ミラノ勢を強くする

の2パターンに分かれ、さらにアプローチ方法として

⑴ピッチ内

⑵ピッチ外

に分けることが出来るでしょう。

 

しかし、現実的に考えて「①ユベントスを弱くする」ことは、リーグ全体のレベル・競争力を下げる危険性が高いです。そのため、「②のミラノ勢を強くする」ことに対して⑴ピッチ内⑵ピッチ外のアプローチを提示したいと思います。

 

しかし、そもそもインテルミランをとりまく環境が大きく異なります。インテル2年連続でCLに出場し、今年は大型補強を敢行、いまや優勝候補の一角です。一方ミランは大型補強が外れ、いまだにFFPの問題は解決せず、CLにも出れていません。今回は「ミラノ勢の復活」ではなく「1強状態の解決」がトピックなので、より復活への軌道にのっているインテルに焦点をあててみましょう。

 

 

⑴ピッチ内

今のところはこのままで大丈夫でしょう。開幕から4戦全勝で、名将コンテが結果を出し続けています。強いて言えば、シーズン後半にブロゾビッチやルカクといった代わりのいない選手の疲労が溜まった時に真価が問われます。

 

 

⑵ピッチ外

インテルは2019年5月にFFPの和解協定からの離脱が決まりました。これによってCLでのメンバー登録制限や、無理な主力売却の必要性がなくなりました。これを受けて今年のインテルは大型補強を敢行し、ルカク・サンチェス・ゴディン・バレッラ・センシ・ラザロ・ビラーギ・ディマルコを獲得するといった充実したメルカートを過ごしました。

 

インテルFFPで痛い目を見たため、もう一回引っかからないためには今後はバランスの良い補強を行っていく必要があります。そのために大切なのは余剰戦力の売却です。現在PSGにレンタル中のイカルディには、総額6500万€という高額な買取オプションがついています。PSGで活躍して買い取ってくれるならば何も問題はないのですが、活躍せずに価値が下がった状態でインテルに戻ってくれば、売り手を見つけるのはなかなか苦労するでしょう。さらに高齢のペリシッチが買取されず、単純ローンのナインゴランも戻ってくると不良債権となるリスクもあるので、一概に楽観的だとは言えません。

 

 

⑶新勢力の台頭

実は1強を終わらせるにはもう一つの選択肢があります。ナポリの台頭です。SNSなどのフォロワー数を見てもブランド力という意味ではユベントスやミラノ勢には遠く及びませんので、将来的にメガクラブとなるのは厳しいですが、彼らには実力があります。会長のデ・ラウレンティスは選手を残すのが上手ですし、現有戦力の維持が出来れば、ナポリの王朝を築くのは厳しいかもしれませんが、1シーズン優勝する可能性は十分あるでしょう。しかし今シーズン限りでメルテンスカジェホンというナポリを支えてきた選手が退団する可能性も高いので、今年を逃すわけにはいかないでしょう。 

 

 

 

4.最後に

今回の記事で今までなんとなく「セリエAって1強なんだな」とか知らない人も理解していただければ嬉しいです。いつ、そして誰がユベントス1強体制を打ち破るのか?サッリ初年度でいまいち噛み合っていない今期は最大のチャンスでもあります。今まで興味はあったけどなかなかセリエAをみるのを躊躇っていた人も、是非見てみてはいかが?