セリエA入門

セリエAを観てみたいけど詳しくない方に向けたセリエA入門ブログです!

セリエAの観客動員とスタジアム

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DAZNを適当にザッピングしてると、セリエAの試合がやってます。

暇だし見てみるかー!とクリックします。

すると目の前にはガラッガラのスタジアムが!

「やっぱりセリエAは昔ほどは元気ないし観客も少ないんだろうなぁ」

と考えるのは自然です。(まあこれは違うんですけど※後述)しかし、リーグランキングでセリエAより下のブンデスリーガを見てみると…

どこも満員だ!と思いますよね。

ここで一つの疑問が生まれます

「なんでセリエAのスタジアムってこんなにガラガラなの?」

実はこの問題、思っている異常に様々なファクターが絡んでいます。

ということで今日はセリエAの観客数の少なさについて語っていきたいと思います

 



0.観客動員数は?
確かにガラガラな印象はあるけど、実際にセリエAはどれくらいガラガラなの?

と不思議に思うかもしれません。ということで「CIES」が発表している各リーグごとの2013-18の5年間の平均観客数を見てみましょう。

 

1位 ブンデスリーガ 43,302人

2位 プレミアリーグ 36,675人

3位 リーガ・エスパニョーラ 27,381人

4位 リーガMX 25,582人

5位 セリエA 22,967人

 

メキシコリーグより少なく、ブンデスの半分…

しかも最新の統計ではサッカー熱が上がっている中国の超級リーグにも抜かれています。さすがにヨーロッパ以外のリーグに抜かれるのは寂しいですね…

 

では、なぜそんなに少ないのでしょうか?

一つずつ分析していきましょう!!!

 

 

A.スタジアム問題

観客が試合を観るスタジアムがちゃんとしていないと、そもそも観客が来なかったり、リピーターにならなかったりします。イタリアのスタジアムは様々な問題を抱えています。順に見ていきましょう。

 

⑴.スタジアムの設備

①スタジアムの老朽化

セリエAのスタジアムは、改修しているとはいえ古いものが多いです。ほとんどのスタジアムは戦前に作られたものが多く、中下位や地方のクラブは1990年のイタリアW杯前後以来改修をしていないものが多いです。例えば…

Stadio Luigi Ferraris(ジェノアサンプドリア

  1911年開業 1989年改修

Stadio Ennio Tardini(パルマ

  1923年開業 1993年改修

Stadio Renato Dall'Ara (ボローニャ

  1927開業 1990年改修

Stadio Artemio Franchi(フィオレンティーナ

  1931年開業 1990年改修

Stadio Olimpico(ローマ・ラツィオ

  1937年開業 1990年改修

Stadio Via del Mare(レッチェ

  1966年開業 1985年改修

Stadio Marc'Antonio Bentegoti(ヴェローナ) 

  1963年開業 1989年改修

 

スタジアムが古いともちろん設備の質が劣り、客足も遠のきます。確かにボローニャのダッラーラのように古さによって味が出てくるスタジアムもありますが、彼らも改修計画があるように、やはり古さは大きなDisadvantageに違いありません

 

しかし、スタジアムの客足とスタジアムの新しさって関係あるんでしょうか?去年1年間のスタジアムがどのくらい埋まっているのかと改修時期の相関性についてみてみましょう。(データミスってたら申し訳ございません)

※観客動員数のデータの引用元(https://www.transfermarkt.com/serie-a/besucherzahlen/wettbewerb/IT1/plus/?saison_id=2018

ベスト5

ユベントス 94.5%  開場2011年

カリアリ  90.4%  開場2017年(予備のスタジアム)

SPAL             84.0%   改修2018年

フロジノーネ81.8%  完成2017年

ウディネーゼ80.8%  改修2016年

 

ワースト5

キエーヴォ 39.5%  改修1989年

ラツィオ  45.9%  改修1990年

エンポリ  47.8%  開場1965年

ナポリ   52.3%  データには反映されないが今季前に改修

ローマ   52.7%  改修1990年

 

確かに新しいスタジアムはより近年の観客動員数をもとにしてスタジアムをつくっているため一概には言えませんが、近年改修したクラブのほとんどは観客動員数を伸ばしていますし、ここまで露骨に出るとさすがにスタジアムの新しさと相関があることは否定できないと思います。

 

②観客席とピッチが遠い

 ダイナミックで迫力満点のプレミアリーグとは違って、セリエAのスタジアムには、陸上トラックがついてるのも多く、観客席とピッチの距離が全体的に遠いといえます。例えば、一番上に貼った画像を見てみましょう。これはローマとラツィオという2つのビッグクラブを抱えるStadio Olimpicoなんですが、ピッチと観客席の間に陸上トラックが存在するのがよくわかりますよね。またセリエA屈指の強豪ナポリのホームスタジアムStadio San Paoloも陸上トラックが存在します。ビッグクラブでさえそうなのですから、他にもたくさんあります。例えば冨安の所属するボローニャのStadio Renato Dall'Araを始め、Stadio Marc'Antonio Bentegoti(ヴェローナ)やStadio Artemio Franchi(フィオレンティーナ)の一部などは非常にピッチと観客席の間に距離があります。高いお金を払っても席が見づらいのならテレビで見ようかってなりますよね。

 

③サッカー専用スタジアムの必要性

「なぜこんなにもピッチと観客席の距離が遠いのか」「なぜ陸上トラック付きのスタジアムが多いのか」に関しては、セリエAがクラブ所有のサッカー専用スタジアムが少ないことが第一の理由に挙げられます。それならばクラブ所有のスタジアムを建てればよいのですが、それにはそれ相応のお金が必要となるだけでなく、自治体からの許可を得る必要もあるためなかなか簡単にはいかないのです。また、事実確認はとれてないのですが面白い話としてローマは歴史的遺産が多く、地面を掘ると遺跡が出てくるためになかなか場所がないといった話も聞いたことがあります。

 

 ⑵スタジアムの治安

スタジアムが危ない場所だと、お金を持っているとされる観光客や子供連れなどが行きづらくなるのは想像できますよね。かつてサッカー界には「フーリガン」と呼ばれる人々がいたのは皆さんもご存じだと思います。彼らの多くが労働者階級で、ひどく酔っぱらってスタジアムに入って暴れだす…「ヘイゼルの悲劇」なんかは非常に有名ですね。この悲劇以降各国はフーリガン対策に取り組み、そのような明らかに危ない人々はいなくなりました。しかし現在でも、集団心理が働くのかもしれませんが、"熱狂的"なサポーターが相手選手に暴言を吐いたり相手サポーターともめごとになることは頻繁にあります。イタリアももちろん例外ではなく、特にローマダービーという仲の悪いクラブ同士の対決だと、暴力沙汰になるのはよくあることです。

 

また皆さんご存知の通り、最近は人種差別チャントセリエAがクローズアップされることも多いですね。このような状況ではスタジアムに行きたくないと感じても不思議ではありません。

 

B.渋るサポーター

イタリア経済の不振

一度でもJリーグの試合を観に行ったことの方はおわかりだと思いますが、サッカー観戦にはとにかく金がかかります。なのでお金の持っていない人だと必然的に毎試合行くのは厳しくなります。現にイタリア・スペインといった経済状況の不安定な国より、イギリス・ドイツといった経済的に安定した国(最近は雲行きが怪しいが)の方が入場者数が多いのがわかると思います。

 

現在経済危機をなんとか乗り切ったイタリア経済はゆるやかな回復傾向にあるとされていますが、基本的に経済成長率は欧州全体の平均を下回っています。財政基盤がぜい弱なイタリアはEU諸国の中でもかなり経済が不安定な国の一つで、いち早く景気後退に向かうとみられています。

 

  現在イタリアの失業率はおおまかにいえば約10%、若者の失業率に限って言えば約40%にもなります。このような状況の中、設備もいいとは言えないスタジアムに足を運ぶ人は少ないでしょう。

 

 

【参考】イタリアクラブの不振

皆さんはおそらくこれが最も大きな原因だと思うでしょう。実はこれは数字だけみるとそれほど大きな問題でもないんです。セリエA没落の大きな原因であるカルチョポリ以前の2004-05年シーズン(イスタンブールの奇跡の年)と昨年の20クラブの平均観客動員数を比較してみると…

2004-05→25,564人、2018-19→25,051人

意外なことにほとんど変わってないですね。では他のリーグを見てみましょう!

プレミアリーグ

2004-05→33,939人、2018-19→38,188人

リーガ・エスパニョーラ

2004-05→29,789人、2018-19→27,092人

ブンデスリーガ

2004-05→37,824人、2018-19→43,467人

 

これを見ると、プレミアとブンデスが大きく伸ばしているのに対し、セリエA・リーガは減少しています。これは上で述べたスタジアム・国内経済においてうまくいっているプレミア・ブンデスとうまくいっていないセリエA・リーガがきれいに結果として出ているってことです。

 

人々は所属クラブが極端に不調でなくてお金と環境さえあればスタジアムに行きたいのです。いかにピッチ外の環境整備が大切なのかを思い知らされますね。

 

D.上手くいっているクラブ

上手くいっているクラブはいくつかありますが、今回はウディネーゼをピックアップします。ウディネーゼは明らかにスタジアム改修で観客動員数を伸ばしたクラブです。

 

2013/14 14135人

2014/15   9015人

2015/16 15885人(1月に改修)

2016/17 17287人

2017/18 17633人

伸びてますよね!!

そして昨年は20,329人を動員しました!!!

 

このようにスタジアムの大幅改修をすることでウディネーゼは人口10万人程度のホームタウンでありながらも安定した観客動員を達成したのです。

 

なんとさらにウディネーゼはスタジアムを多目的化するために複合施設の建設を進めているそうです!ユベントスアリアンツ・スタジアムはそれで大きく収益を上げたので期待ができますね!!

※参考

https://www.thestadiumbusiness.com/2019/07/16/udinese-stadium-revamp-bring-public/

 

 

E.最後に

いかがだったでしょうか?

全体的にみるとやはりスタジアム改修は観客動員に効果的(キャパシティも身の丈に合う)ですし、スタジアム改修はFFPに影響がないみたいなのでぜひやっていただきたいですね!

 

しかしイタリアのクラブはお金がないから難しい。しかしスタジアムがないとお金も入って来ません。この問題は解決が難しいですが、ファンとしては観客で埋まるスタジアムを見ていたいですね!なぜイタリアにお金がないのかは過去の記事をみてください(最後に宣伝)。読んでいただきありがとうございました!

https://calcitappi.hatenablog.com/entry/2019/07/17/211015

 

 

ダヴィデ・アストーリと僕

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先日、「彼」が訪れたことのある下北沢に降り立つと、ふとあの日の記憶が蘇った。

 

 

 

 

2018年3月4日

 

長い長い浪人の1年が終わり解放感を味わっているものの、知りたいのか知りたくないのかわからない第一志望の大学の合格発表を待っている不安定な夜。いつも通り何気なくTwitterを漁っていると、ある知らせが目に飛び込んできた。

 

ダヴィデ・アストーリ急逝」

 

あまりにも現実味のない知らせのせいか、何の感情も湧いてこない。悲しい知らせなのに悲しみを感じない。つい先週までプレーしていた選手がこの世からいなくなることが信じられなかったのだ。しかしある程度時間が経ち、それが現実として受け入れられるようになるにつれて、喪失感と恐怖が胸の中にこみあげてきた。

 

 

正直なことを言うと、僕は彼のファンでも、ましてやフィオレンティーナのサポーターでもない。もちろん彼を良い選手として認識はしていたが、彼の出ていた試合を観ても「フィオレンティーナの一選手」としか見ていなかった。彼への愛着や死への悲しみならばフィオレンティーナ・ローマ・カリアリのサポーターの方がはるかに強いだろう。だが、間違いなく彼の死は僕の心の中の何かを変えた。今ブログに綴っているのもそれがようやく何であるかがわかってきたからかもしれない。

 

 

 

ただ当時でさえ、彼の死は僕にとって「何気なく見ていた一選手が突然いなくなる」だけのものではなかった。もちろんそれは僕が普段から気にかけていたセリエAの選手だったからというのもある。しかし何より「30歳前後のスポーツ選手が突然亡くなる」という事実そのものが僕を襲ったからだ。彼はスポルティエッロとゲームに興じた翌日の朝に、何の兆候もなく心臓発作で亡くなった。スポーツ選手が若くして亡くなる原因は事故が多いため、彼が心臓発作という病気で亡くなったという事実は僕にかなりの衝撃を与えた。「健康体そのものであるサッカー選手でさえ病気で急死するのだから僕も簡単に…」とここまで身をもって実感したのは初めてであった。当時不安定な精神状況であった僕の心をさらに揺さぶっただけでなく、受験勉強の終了から享受していた大きな解放感も明日失われるかもしれないと感じた。この儚さを実感したからか突然身の毛がよだち、上記のような喪失感と恐怖がこみあげてきたのだ。

 

 

 

彼の死から数日経つと、チームメイトや関係者から彼の人柄やエピソードが少しずつ掘り返されていった。しかしどのエピソードも彼の人柄の良さや謙虚さを裏付けるようなものだった。確かに人が亡くなった後は良く言われがちだが、チームメイトや関係者から出る彼への言葉や思いは全て日頃からリスペクトしていないと出てこないようなものであった。彼の死から2年が経過した現在でも彼のことを悪く言う人がいないことがそれの何よりの証拠だろう。

 

このような周囲からの彼への愛を見ていると、果たして自分はどうなのかと徐々に考え始めるようになった。「今」の自分を切り取ったとして、周りから愛され、リスペクトされるような人間になっているのだろうか。自分が「今」終わったとしても、周りの人が僕を思い出す時は心地よい記憶がフラッシュバックしてくるのだろうか。もちろん僕はただの一般人なので街中から愛されるわけではないが、少なくとも僕を知る人だけには愛されるようになりたいと感じるようになったのだ。

 

 

 

さらに、彼の死の直後に感じたあの「儚さ」に対しても色々と考え始めるようになった。その中で仕切りに思うことの一つとして「今死んでも良いと思えるようにしよう」ということだ。もちろん長生きしていたいが、万が一急に生を奪われそうになった時、果たして自分は後悔がないのか。大学生がこんなことを考えるなんて早すぎると思われるかもしれないが、彼の死からいつ何が起こるかわからないと感じた僕にはそれは関係ない。果たして「今」で終わっていいのか。今でも時折それが頭によぎる。

 

 

この2つの点で共通しているのは「今」を切り取っているということだ。僕は少しずつ「今」への執着を持てるようになったのだ。僕は怠惰な人間であり、今も基本的にはそうであるが、この日以来自己研鑽に努める日が明らかに増えた。今までには考えられなかったが、空いた時間に勉強するようになった。結果的に英語が足を引っ張って第一志望の大学に落ちてしまったのだが、その勉強のおかげか英語への学習意欲が上がり、今では英語が得意になっている。彼の死が確かに僕を変えたのだ。

 

 

 

確かに僕が学んだことは、特に大人の皆さんにとっては陳腐なことなのかもしれない。しかし僕は間違いなく彼の死によって身を以て実感したのだ。これは彼からのメッセージだったのだろう。彼に対する思い入れはフィオレンティーナ・ローマ・カリアリのサポーターよりは弱いだろうが、彼の死から感じたこと・変わったことを忘れない限り、間違いなく彼は僕の心の中で生き続けている。

 

 

 

 

僕はほのかな儚さを感じながら心の火を灯し直し、下北沢の地を離れた。

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(下北沢を訪れるアストーリ)

 

 

 

 

 

カルチョ熱の源泉「カンパニリズモ」

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どうも!カルロウです!

久しぶりのブログ更新となって申し訳ございません。

さて今回もイタリアに行ったことのない僕がイタリアの文化を偉そうに語るブログがやってきましたね()

 

今週末ミラノダービーが行われます。また先日にはローマダービーもありましたが、とても白熱した戦いとなりました。

 

またローマダービーに関したことといえばローマダービーは世界でも有数の仲の悪いダービーでもあります。2013年に行われた試合で押収されたものにはこんなものが…

 

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え、戦争!?

ローマっ子は文字通り命をかけてダービー観戦に行ってるのですね。

 

ではなぜこんなにもイタリアサッカー界においてダービーは白熱するのでしょうか?実はそれはイタリア人の根底にあるCampanilismo(カンパニリズモ)という価値観が関係しているのです…

 

 

①カンパニリズモとは?

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Campanilismo(カンパニリズモ)はしばしば「郷土愛」と訳されます。これはCampanileという鐘楼(鐘のついている塔)が語源となっております。人々は昔から自分の町の教会の鐘の音を聞いて生活しています。しかしこの鐘の音は街によって様々です。そのため鐘楼が自分の街のシンボルとして作用するのです。このようにして「街のシンボルとしてのCampanile」からこの言葉が生まれました。

 

例えば世界中から大人気の観光都ヴェネツィアだと、サンマルコ広場にある鐘楼は有名ですよね。ヴェネツィアに行ったことない僕でも知っているほど、ヴェネツィアの人にとってCampanileは街のシンボルとして作用しているのです。

 

先程カンパニリズモの訳語として「郷土愛」を当てました。しかしこれには自らの街を愛することはもちろん、他の街への憎しみや羨みも混じっています。「ふるさとはいいなぁ…」ではなく「俺の街がナンバー1!異論は認めない」といった感じでしょうか。

そのため、通常の郷土愛は肯定的なコンテキストで用いられることが多いですが、カンパニリズモは否定的なコンテキストで用いられることも多いそうです。

 

イタリアの歴史を知っていればそうなるのも無理がないことがわかると思います。イタリアが統一されたのはたった150年前の1870年です。中世からそれまで基本的にはずーっと「別の国」としてやっていたわけです。その中でも特に中世は町の多くは城壁に囲まれてるわけですもんね。それでは仲間意識なんて生まれません。

さらに、統一されて国民国家となった後も文化的な統一は遅れました。そのため、国としての帰属意識(僕はイタリア人)よりも地元としての帰属意識(僕はフィレンツェ人)が強まってしまったそうです。そういえばDAZNの北川さんも「イタリアでは代表戦はお祭りみたいなもん。負けてもそんなに批判されない」と言ってましたね。

 

 

②サッカーとカンパニリズモ

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ただそんなカンパニリズモも個々人の移動が活発化するなどのグローバル化によって弱まって行きます。しかしそんな中でも未だにカンパニリズモが色濃く残っている分野があります。そう、カルチョ(サッカー)です。ユベントスインテルなどの世界的ビッグクラブは少し違うかもしれませんが、プロビンチャと呼ばれる地方サッカークラブにおいては、その選手達はおらが町の代表なのです。これらのことからイタリアには地域密着型のクラブが多いことは想像つきやすいでしょう。

 

例えば近年成績優秀で現在CLベスト16に残るほど快進撃を見せているアタランタ。彼らのホームタウンベルガモはミラノからほど近い人口12万人の小さな都市。街の規模的に彼らが世界的メガクラブになるには難しいでしょう。そのため、彼らはしっかりと地元のファンを定着させるために様々なことをやっています。特に強烈なのは、生まれた赤ちゃん全員にアタランタのユニフォームを配っていることでしょう。そんなことされたら嫌でもアタランタファンになりますよね笑。そのおかげもあってかベルガモではほぼ100%がアタランタのファンになっています。

ELやCLでホームスタジアムが規定を満たせず使えなかった時、ELではサッスオーロのマペイ・スタジアムまで、CLではミラノのサン・シーロまで大勢のファンがベルガモから詰め掛けていたが印象的でしたよね!彼らは自分の店を閉めてまで愛するクラブを遠路はるばる応援しに行くのです。

 

この話は下記のDerby Daysより抜粋しました。

 

 

 

③カンパニリズモの魅力

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カンパニリズモの魅力は先程言った地域密着の他、デルビー(イタリア語でダービー)の盛り上がりにあるでしょう。どこの国もダービーマッチは盛り上がります。しかしイタリアではそこにカンパニリズモが加わってより一層白熱します。今日はデルビーを1つピックアップして紹介します。

 

アタランタvsブレシア

アタランタブレシアのダービーに関してはこのDerby Daysの特集をご覧いただければわかると思います。(引用元です)

https://m.youtube.com/watch?v=pGVqT5bjBJA

 

 

これが最も典型的といえるカンパニリズモによって白熱するデルビーでしょう。

 

ベルガモ(アタランタの本拠地)とブレシアはどちらもミラノにほど近い工業都市。お互いの人柄も方言も多少の違いはあれど似ています。やはり近くに似た性格のクラブがあれば負けたくないのは理解できますよね。

 

さらにこのデルビーに固有するのが歴史。ベルガモブレシアという街は900年前の戦争から敵対関係があるそう。1156年にブレシアベルガモにほど近い都市に侵攻したのがきっかけだとか。そのいわば街同士の抗争がなくなった今でもサッカーには残り続けているわけです。

 

1990年代にはサポーター同士で抗争が起こって試合が延期になりましたが、何よりも特筆すべきは2001年9月30日のデルビー。

その日もデルビーらしくブレシアマッツォーネ監督にはヤジが飛ばされていました。後半ロスタイムにブレシアバッジョが同点ゴールを決めると、マッツォーネ監督は喜びを爆発させるだけでなく、アタランタのウルトラスの元へと猛ダッシュ。慌ててスタッフが止めようとするもそれを振り切り、ウルトラスの目の前で渾身のガッツポーズ。いや、アデバヨールかよ…もちろんアタランタのサポーターはこれに激怒。

これ以降、マッツォーネ監督はアタランタの目の敵となりライバル関係もさらに過激になりました。

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このように、カンパニリズモが根付くイタリアではデルビーの敵対関係がさらに過激になり、良く言えばとても盛り上がるものになるのです。

 

後3つほど軽く紹介しておきます

ローマダービー(ローマVSラツィオ

首都ローマを2分するローマダービー。歴史的にカルチョの中心はローマではなく常にミラノだったため、ローマっ子の関心はスクデット争いよりもこのデルビーに。よく「危険なデルビー」と言われるのは従来のカンパニリズモに加え政治的な要素が絡んでるからです。気になる方は是非調べてみてください。

 

ヴェローナダービー(エラス・ヴェローナVSキエーヴォ・ヴェローナ

 イタリア北東部のヴェローナの2クラブのデルビー。ホームスタジアムは同じですが、スクデット経験もありファンも熱狂的なヴェローナと、2000人の地区が拠点でファンも温厚なキエーヴォとのコントラストが面白いデルビーです。

 

トリノダービーユベントストリノ

トリノを拠点とする2クラブのデルビー。セリエA最多優勝を誇る世界的メガクラブのユベントスと、かつて「グランデ・トリノ」と名をはせた古豪のトリノグローバル化したクラブと地元から支持の厚いクラブのデルビーはイタリアではここだけです。

 

デルビーに関しては小川光生さんの『サッカーとイタリア人』をご覧いただくとわかりやすいです。

 

④カンパニリズモの負の側面

しかしこのカンパニリズモもマイナスに働くこともあります。それは地域差別です。カンパニリズモの価値観は残念ながら排外主義の思想との相性が良いのです。

 

イタリアでは南北問題が根深く、北の人間が南の人間を馬鹿にすることもあります。そのため例えばFIGC(イタリアサッカー連盟)はTerritorial Dislrimination(地域差別)に当たるとしてナポリ人への差別チャントを禁止しています。しかし、2018年のアタランタVSナポリ戦の直前、アタランタのウルトラスがそれに反抗する声明を出しました。その際に彼らが言ったのが

 

"我々は差別主義者ではない。それ(差別チャント)はカンパニリズモだ"

 

このように、郷土愛から来る相手への憎しみの感情が差別へと繋がってしまうのです。よくイタリアでは人種差別が横行しているという記事を見かけると思いますが、人種間だけでなく地域間でもよくある話なのです。

 

またデルビーのような近い地域間での対立でも、日本人からすると人格否定とも取れるような汚い言葉でのチャントもよくあります。この場合不思議なのは人種差別との対比です。一般的に人種差別は相手に対する「差異」や「未知」といった恐れから行われることが多いですが、このような場合は先程の「差異」と、「同一性」「既知」が入り混じる対立なのです。

 

とりあえず言えることとしては、地域間の対立が盛り上がりに繋がることは素晴らしいのですが、差別に繋がったら元も子もないということです。しかし、日本人の感じる「からかい」と「差別」の線引きと、カンパニリズモの染み付くイタリア人のそれとは良くも悪くもだいぶ異なるのかもしれません。

 

⑤最後に

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イタリアにはたくさんダービーがあります。ミラノダービーローマダービートリノダービージェノヴァダービーヴェローナダービー、ロンバルディアダービー、エミリアロマーニャダービーetc…軽くあげただけでもこれくらいあります。今回はこれらの根本に繋がる価値観のカンパニリズモについて触れましたが、そこに繋がる歴史や文化を調べても面白いと思います。

 

ということで日本時間2月10日午前4時45分キックオフのイタリア最大のデルビー、ミラノダービーをお楽しみに!

 

(今回このブログを書く上でめちゃくちゃ調べて書いているんですけど最近その雰囲気や実感などを伝えられないという「現地に行っていない限界」を感じてきたなぁ)

セリエAの1強問題をわかりやすくまとめてみた

初心者が海外サッカーを観始める時、セリエAを選ぶ人は少ないでしょう。ではなぜ少ないのか?色々な理由があると思いますが、大きな理由として…

 

セリエA?どうせユベントスが優勝するんだろ⁉︎」

 

その通りです。現在ユベントスセリエAを8連覇しています。これはセリエA史上最長の連続優勝です。その8連覇も、シーズンによっては序盤から独走ってのもしばしば。これじゃ面白くないと思う人がいても不思議ではありません。ですが…

 

「どのくらい強いの?」

「なんでこうなったの?」

「どうすればいいの?」

 

といった疑問が起こるのは自然です。特に普段あまりみていない他のリーグのファンにとっては不思議ですよね。

 

極端な1強リーグの形成には

①1位のクラブが良くなった

②他のクラブが悪くなった

の2つの要素が両方揃い、さらにその現象が

⑴ピッチ内

⑵ピッチ外

の両方に現れる必要があります。

 

今回の場合だと

ユベントスが強くなった

②ミラノ勢が弱くなった

に置き換えられます。ミラノ勢である理由は、ユベントス1強体制の前に強かっただけでなく、過去の実績・ファンの多さ・世界的認知度といったブランド力の観点で、ユベントスに対抗・凌駕できる力があるからです。それでは、1つずつ疑問に答えていきましょう! 

 

 

 

1.どのくらい強いの?

本題に移る前に、まずこの質問に答えましょう。

⑴ピッチ内

前述の通り、ユベントスセリエAを8連覇しています。これはセリエA史上最長で、他のリーグと比較しても異常であることは明らかです。参考がてらにこの5年間の勝ち点を比較すると…

 

ユベントス→448点

ナポリ→401点

ローマ→380点

ラツィオ→324点

インテル→304点

ミラン→273点

 

圧倒的ですね。ピッチ内の強さは言うまでもないでしょう。

 

 

⑵ピッチ外

ではピッチ外ではどうでしょうか?まずクラブの規模を把握することが大切です。ということで、セリエAのビッグクラブの今年度のクラブの総年俸を比較してみると…

 

ユベントス→2億9400万€

インテル→1億3900万€

ローマ→1億2500万€

ミラン→1億1500万€

ナポリ→1億300万€

ラツィオ→7200万€

 

もう笑っちゃうくらい圧倒的ですね。ちなみにかの有名なクリスティアーノ・ロナウド3100万€の年俸を貰っています。これはウディネーゼ・SPAL・ブレシアヴェローナのチームの総年俸を超えてしまいます。それで番狂わせ起こせってのも厳しい話です。

 

 

 

2.どうしてこうなったの?

答えは簡単です。イタリアではユベントスだけが的確な時期に的確に補強し、監督が的確に指導したからです。

 

⑴ピッチ内

まず「監督が的確に指導した」の部分、つまりピッチ内ではどうでしょうか?

 

ユベントスが強くなった

2010-11シーズン、ユベントスはまだカルチョポリの打撃を引きずり、シーズン7位・ELではグループリーグ敗退と低迷していました。鬱屈した雰囲気の時は、まず選手のマインドセットを変えるような監督が必要です。そこで招聘されたのが、クラブのレジェンドでまだアントニオ・コンテでした。彼の練習はとてつもなく厳しく、さらに彼自身も超熱血であり、まさに「泥臭いユーベ」「Fino alla fine」を体現するチームとなりました。コンテ率いるユベントスは、他のライバルクラブの経営不振にも乗じて、セリエAを一気に3連覇しました。

 

次に就任したのは、カリアリで名を挙げたマキシミリアーノ・アッレグリ。就任当初は懐疑的な見方も多かったですが、PSGやプレミアのように大金を使った補強が出来ないユベントスにとって、現有戦力を上手くやりくりして結果を出せるアッレグリは最高の監督でした。就任初年度にセリエA4連覇を達成し、CL準優勝も達成しました。

 

②ミラノ勢が弱くなった

一方他のクラブはどうでしょうか。当時、スクデットの最大のライバルはインテルミランでした。

 

インテルは2009-10シーズンの3冠メンバーが高齢化し、完全にサイクルの転換に失敗。結局2018-19シーズンまでCLの舞台に返り咲くことは出来ませんでした

 

ミランはとにかく財政難で、2012-13シーズン前にイブラヒモビッチアゴシウバという2大巨頭を放出して以降はスクデット争いになかなか絡めなくなってきました。

 

 

⑵ピッチ外

ユベントスが強くなった

ユベントスはコンテを招聘した2011年の9月に、イタリアで初となるクラブ専用スタジアムの「ユベントス・スタジアム」を完成させます。このスタジアムは収容人数は40000人強と少ないですが、派手なショーアップもピッチとスタジアムが近いことで人気が高く、チケット収入は前のスタジアムの時の3倍、前年度の4〜5倍にまでなりました。

 

さらに専用スタジアムには、サッカー以外の用途でのスタジアムの利用料もクラブ収入となりますのでどんどん収益を伸ばしていきました。もとからあるブランド力も大きかったですね!

 

スタジアムなどのユベントスの経済的な話はこちらに詳しく記載されております

https://www.goal.com/jp/news/1867/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2/2016/10/30/28990412/%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%A4%A7%E8%B5%A4%E5%AD%97%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%A6%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8F%8E%E7%9B%8A%E3%81%AF6%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%A7%E5%80%8D%E5%A2%97%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0

 

②ミラノ勢が弱くなった

一方インテルミランはどうなのでしょうか?

この2チームは2000年代に結果を残した一方で、収支を無視した大型補強を繰り返し、毎年多くの赤字を記録していました。このような放漫経営のツケが2010年代に回ってきたのですね。

 

さらにミラノ勢の財政に大きなダメージを与えたものがあります。そう、2011年に導入されたFFP(Financial Fair Play)です。

 

FFPが導入されると、赤字経営のクラブは財政再建のために高額な年俸を貰う主力選手の売却に迫られます。

 

インテルは2011-12にエトーを、翌シーズンにはマイコンルシオ・ジュリオセーザルを売却。2013-14シーズン後にはサネッティの引退に加え、カンビアッソ・サムエル・ミリート・キヴといったレジェンドを放出せざるを得なかった。

 

ミランも同様に、2011-12シーズンはピルロユベントスに、2012-13シーズンにはイブラヒモビッチ・チアゴシウバ・ガットゥーゾネスタセードルフファンボメルインザーギザンブロッタといった正真正銘のレジェンドを泣く泣く手放します。

 

両クラブともこれらの代わりに安価で優秀な選手を獲得しましたが、レジェンドクラスの彼らには遠く及ばず、CL争いからもとうとう脱落してしまうのです。

 

このように、ピッチ内・ピッチ外で盤石な体制を築いたユベントスは、ナポリやローマといった南イタリアのクラブの台頭を圧倒的な戦力で退けていきました。

 

 

 

3.ではどうすればいいの?

解決策を実行するには、抽出された根本原因を打ち消すものでなくてはなりません。

 

そしてこれもまた、

ユベントスを弱くする

②ミラノ勢を強くする

の2パターンに分かれ、さらにアプローチ方法として

⑴ピッチ内

⑵ピッチ外

に分けることが出来るでしょう。

 

しかし、現実的に考えて「①ユベントスを弱くする」ことは、リーグ全体のレベル・競争力を下げる危険性が高いです。そのため、「②のミラノ勢を強くする」ことに対して⑴ピッチ内⑵ピッチ外のアプローチを提示したいと思います。

 

しかし、そもそもインテルミランをとりまく環境が大きく異なります。インテル2年連続でCLに出場し、今年は大型補強を敢行、いまや優勝候補の一角です。一方ミランは大型補強が外れ、いまだにFFPの問題は解決せず、CLにも出れていません。今回は「ミラノ勢の復活」ではなく「1強状態の解決」がトピックなので、より復活への軌道にのっているインテルに焦点をあててみましょう。

 

 

⑴ピッチ内

今のところはこのままで大丈夫でしょう。開幕から4戦全勝で、名将コンテが結果を出し続けています。強いて言えば、シーズン後半にブロゾビッチやルカクといった代わりのいない選手の疲労が溜まった時に真価が問われます。

 

 

⑵ピッチ外

インテルは2019年5月にFFPの和解協定からの離脱が決まりました。これによってCLでのメンバー登録制限や、無理な主力売却の必要性がなくなりました。これを受けて今年のインテルは大型補強を敢行し、ルカク・サンチェス・ゴディン・バレッラ・センシ・ラザロ・ビラーギ・ディマルコを獲得するといった充実したメルカートを過ごしました。

 

インテルFFPで痛い目を見たため、もう一回引っかからないためには今後はバランスの良い補強を行っていく必要があります。そのために大切なのは余剰戦力の売却です。現在PSGにレンタル中のイカルディには、総額6500万€という高額な買取オプションがついています。PSGで活躍して買い取ってくれるならば何も問題はないのですが、活躍せずに価値が下がった状態でインテルに戻ってくれば、売り手を見つけるのはなかなか苦労するでしょう。さらに高齢のペリシッチが買取されず、単純ローンのナインゴランも戻ってくると不良債権となるリスクもあるので、一概に楽観的だとは言えません。

 

 

⑶新勢力の台頭

実は1強を終わらせるにはもう一つの選択肢があります。ナポリの台頭です。SNSなどのフォロワー数を見てもブランド力という意味ではユベントスやミラノ勢には遠く及びませんので、将来的にメガクラブとなるのは厳しいですが、彼らには実力があります。会長のデ・ラウレンティスは選手を残すのが上手ですし、現有戦力の維持が出来れば、ナポリの王朝を築くのは厳しいかもしれませんが、1シーズン優勝する可能性は十分あるでしょう。しかし今シーズン限りでメルテンスカジェホンというナポリを支えてきた選手が退団する可能性も高いので、今年を逃すわけにはいかないでしょう。 

 

 

 

4.最後に

今回の記事で今までなんとなく「セリエAって1強なんだな」とか知らない人も理解していただければ嬉しいです。いつ、そして誰がユベントス1強体制を打ち破るのか?サッリ初年度でいまいち噛み合っていない今期は最大のチャンスでもあります。今まで興味はあったけどなかなかセリエAをみるのを躊躇っていた人も、是非見てみてはいかが?

サッカーと人種差別

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「試合が進むと、僕がボールに触る度にラツィオのファンが猿の鳴き真似をしてくると気づいた。『彼らはなんでそんなことしているんだ?俺が黒人だからか?世界中の黒人にとって当たり前のことではないよな?』私は自問自答したのを今でも覚えている。」

 

これはいまや世界最高のCBの一人に成長したナポリカリドゥ・クリバリの言葉の抜粋だ。彼は2016年の2月3日のラツィオ戦で、ラツィオサポーターから人種差別チャントを受けた。主審はそのチャントを聞き試合を中断したが、結局試合再開後にも差別的なチャントは収まらなかった。

 

現在、サッカー界には人種差別が横行している。「相手チームの選手」という立場が、サポーターを簡単に過激化させてしまうのだ。政治的な要素は排除されるべきサッカー界で、人種差別という人類の政治的争いの負の遺産が蔓延するという皮肉が頻繁に見られる。今日はサッカー界、とりわけイタリアサッカー界の人種差別について掘り下げていきたいと思う。

 

①人種差別とは?

 

人種差別とはそもそもなんなのか?ブリタニカ百科事典の言葉を引用すると、

人種の相違を理由に加えられる,政治・経済・社会的差別。

ではそもそも差別とはなんなのか?これまたブリタニカの言葉を引用すると、  

特定の個人や集団に対して正当な理由もなく生活全般にかかわる不利益を強制する行為をさす。

 

ここで気になるワードがある。「正当な理由もなく」だ。「正当な」という部分は人々によって解釈が異なる部分だ。その解釈の差異が加害者と被害者の認識のズレを生じさせるのだ。最初のクリバリの例でいうと、ただクリバリはサッカーという彼の仕事を行っていただけなのに嫌がらせを受けた。加害者側にどんな事情があったとしても、そこに「正当な理由」がないのは明らかだ。

 

②サッカー界における人種差別

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サッカー界には人種差別が横行している。「相手チームの選手だから」という正当に見せかけた理由で行動がエスカレートしていく。フーリガンを追い出し、スタジアム内の環境が良いとされるプレミアリーグでさえ、昨年スターリングがピッチ内で差別を受けた。

 

さらに今年はズマ・ポグバがSNS上で差別を受けた 。SNS上ではその匿名性からか人種差別的な言動が日常茶飯事である。特にこの場合は自チームの選手に対しての差別である。本来応援すべき選手なはずなのだが。

 

サッカーが生活に根ざしている地域にとって、サッカーは鬱憤を晴らす媒体なのである。日頃の溜まった不満も、贔屓クラブが勝てばすぐに消え去り、幸せな1週間を過ごせる。しかし、贔屓クラブが勝てなければこれまた鬱屈した1週間を過ごす。そのため、自チームの黒人選手が失敗したり、相手チームの黒人選手が活躍したりするとその不満をぶつけるのだ。「PKに失敗したから」「愛するクラブが有色人種に点を決められたから」。彼らは彼らなりに理由をつけるが、それは「正当な理由」ではないはずだ。あっていいはずがない。

 

 

③イタリアサッカー界における人種差別

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イタリアサッカー界は特に人種差別が蔓延している。9月1日にカリアリファンがルカクに人種差別的なチャントをしたのは記憶に新しいだらう。これは上記の理由以外にもイタリアならではの理由もある。

 

近年、イタリアは地中海に面していることもあり、大量の移民流入している。そんな中イタリアの経済は低迷し、失業率は2ケタを超えている。そんな状況の中で「イタリア人」の職が奪われているとして、他民族である移民や外国人労働者への風当たりが強くなっている。反移民を掲げる政党「Lega Nord」に根強い人気があるのがその証拠だ。

 

イタリアは長年バラバラだったこともあり、南北問題を始めとして地域差別が根強い国だ。そんなところに新たな「移民・外国人」というカテゴリーが加われば、「イタリア人」の憎悪がそちらに向くのは容易に想像できるだろう。

 

 

④アクション

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「今は2019年だ。しかし前進ではなく後退している。サッカー選手として、団結する必要があり、試合をクリーンにして皆にとって楽しいものであり続けるためにこの問題に声を上げ続ける必要がある。」ロメル・ルカク

 

「私はこの問題への答えはわからない。ただできることは自分の話を伝えていくことだけだ。」〜カリドゥ・クリバリ〜

 

これらは実際に人種差別を受けた選手達の言葉である。共通していることは、被害者が発信し続けることだ。

 

人種差別の加害者は、それを差別と認識せずにやっている場合も多く見受けられる。彼らだって「人種差別は良くないこと」ということくらいわかっているのだ。そのため彼らは決まって「俺には正当な理由があるんだ」とか「これが差別に当てはまるとは思わなかった」と言い張る場合が多い。そのような無意識的な加害者には、被害者の語る経験談に触れることが、相手側の心理を再確認でき、自分の行動を見つめ直すいいきっかけとなるだろう。

 

 

⑤最後に

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普段、我々日本人は人種差別という問題は身近には感じないかもしれない。しかし日本人も差別的な言動をされたりしたりしてきたのである。広く蔓延する海外サッカーを巡る人種差別の問題は、忘れかけてた人類の負の歴史を思い出させるのだ。

 

 

クリバリはラツィオ戦後のエピソードを語った。

 

「試合後、私は大事なことを思い出した。試合前に一人の少年が私のユニフォームを求めていたのだった。私はスタンドにいる彼を見つけ、シャツをあげた。そしたら彼がなんて言ったと思うかい?『君に起こったことは申し訳ない』これが子供の精神だ。これがちょうど今世界が失っているものなんだ。」

 

差別的な思想を持って生まれてきた子供はこの世にいない。最初は皆友達として遊びあったのだ。

 

そして最後にこう言った。

“Maybe we are different, yes.  But we are all brothers.”

 

引用元

https://www.theplayerstribune.com/global/articles/kalidou-koulibaly-napoli-we-are-all-brothers

 

セリエAはなぜお金がないのか

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どうも、カルロウです!

 

移籍市場真っ只中の現在、セリエAファンのほとんどが感じてることがあると思います。それは…

 

「カネがねぇ(半ギレ)」

 

この時期、選手の獲得レースが起こるのですが、プレミア勢やPSGなどが参入するとイタリアのクラブは一気に苦しくなります。イタリアのクラブにお金がないことは海外サッカーファンなら誰もが知っていることでしょう。

 

ところで…そもそもなんでイタリアのクラブって金がないの?

 

こんな単純な質問でさえ、答えは実はたくさんあるのです。今回はそれを掘り下げていきたいと思います。

 

 

 

 

 

実際にどのくらい金欠なの?

お金をはかる指標はいくつもあるが、今回はフォーブス誌の発表している2019年クラブの市場価値ランキングベスト20を参考にすると、イングランドのクラブが9つランクインする一方、イタリアのクラブはユベントスインテルミラン・ローマの4つに留まる。

 

 

なぜイタリアのクラブはお金がないの?

では本題に移ろう。イタリアのクラブはなぜお金がないのか。原因は1つとかいう簡単な問題ではないので、今回は考えられる原因を列挙していきたいと思う。

 

まず、金欠になるファクターとして当然ながら2パターンがある。

①収入が少ない

②支出が多い

これは当然だ。2パターンに分けて説明していきたいと思う。

 

 

①収入が少ない

イタリアの場合は①の要素が大きい。現にイタリアのクラブの平均収入は四大リーグでは最低である。順に説明していきたいと思う。

 

(1)放映権

放映権とは「試合を独占的に放送出来る権利」のことで、勿論テレビ局が試合を放送するにはお金を払わなければならない。価値のあるとされているクラブほど、放映権で得られる収入は多くなる。

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放映権は、イタリアの金欠っぷりというよりプレミアの金満ぶりを表すのによく用いられる。プレミア最下位のハダースフィールドの方がユベントスよりも放映権料を得ているのだ。もちろんイタリアのビッグクラブはそれ以外の収入が多いが、そうでないクラブはプレミアの中堅クラブでさえ太刀打ちできないのである。

 

ではなぜこんなにも放映権が違うのか?その理由は大きく分けて2つある。

 

A.リーグそのものの魅力がわかりやすい

基本的にプレミアリーグビッグ6が支配しているが、その中でどこが優勝するかは基本的にわからない。一方、セリエAユベントスが8連覇しており、早々に優勝を決めてしまうシーズンもある。もちろんイタリアサッカーにも様々な魅力があり、僕もそれに惹かれたのだが、多くの人はどっちを観るか選ぶとしたらプレミアを選ぶだろう。魅力的に見えれば必然的に放映権収入も上がるのだ。

 

B.言語面

イタリア語と国際公用語の英語だとプロモーションの際のアドバンテージが違いすぎる。さらに英語話者が多いということは旧植民地権のネットワークも大きいのだ。そこで市場の拡大も比較的楽に進めることができる。一方イタリアの旧植民地が少ないことは皆さんもご存知だろう。こればかりはしょうがない。イタリアのクラブも英語でのプロモーションを進めるしかない。

 

(2)イタリア経済の不安定さ

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これもかなり大きなファクターだ。不況が長引き、債務も解消せず、失業率は2桁を超える…

 

このような状況では人々がスタジアムに行ったりグッズを購入したりする金額が減少するのは容易に想像できるだろう。現にセリエAを見ていると多くのスタジアムのスタンドがガラガラなのが目に入るだろう。そうしてクラブの収入が減りスタジアムなどの改築なども遅れて観戦の環境が整備されず、さらに国民がスタジアムに行かなくなるという悪循環に陥っているのだ。中には破産するクラブも見られる。パルマが破産したのは記憶に新しいだろう。

 

国内経済の苦しいスペインも、ビッグクラブを除いて同様の苦境に陥っている。イタリア同様に破産するクラブも見られる。国内経済が自国のサッカーに与える影響は大きいのだ。

 

(3)スタジアム問題

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イタリアのクラブはスタジアムに関して様々な問題を抱えている。いくつかの要素に分けられると思うので順に説明していきたいと思う。

 

A.クラブ所有のスタジアムが少ない

イタリアのクラブの多くがスタジアムを所有してないことは有名だ。多くは自治体所有となっている。現在イタリアでスタジアムのクラブ保有をしているor保有が決まっているクラブはユベントスアタランタウディネーゼサッスオーロカリアリ、SPAL、ボローニャフロジノーネ(抜けてたらすみません)。インテル&ミランはまだ計画段階だ。ユベントスが専用スタジアムを保持してから収入が増え、躍進したことは記憶に新しい。

 

「金がないからスタジアムが買えないのか」「スタジアムがないから金が入らないのか」どちらが先かはわからないが、やはり改修などにも逐一自治体の許可が必要なため非常に新陳代謝が悪いので状況を改善してもらいたい次第だ。スタジアムの建設はFFPにはひっかからないので是非ともすすめてほしい。

 

B.スタジアムの老朽化

ユベントスのように派手なショーアップされたスタジアムもあるが、エンポリみたいにあまり綺麗とはいえないスタジアムも多い。これでは集客はあまり見込めないだろう。しかしこれも多くのクラブで改築案が出ても自治体が許可せず改築が頓挫した結果でもあるため早期解決が待たれる。

 

C.スタジアムの治安

これも非常に大きな問題だ。イングランドフーリガンを追い出して家族でも安心して観に行けるスタジアムにしたが、イタリアはまだそうとはいえない。特にダービーでは暴動が起こることもしばしば。さらに最近ではイタリアサッカーにおける人種差別が横行している。過激なサポーターが試合中に人種差別のチャントを歌うのだ。これでは金を持っている家族連れや観光客は観に行くことをためらうだろう。

 

 

②支出が多い

(1)放漫経営

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現在も放漫経営が続いてるという訳ではないが、ビッグクラブを中心にどちらかというと放漫経営が負の遺産となって財政を苦しめている。イタリアの没落の原因としてよく言及されるインテルミランに着目すると、2000年代には収支を無視した大型補強が続き多額の赤字を毎年記録していた。それが積み重なって多額の負債となっているのだ。現に「Daily Star」の「The 20 European clubs with the highest net debt」によると、2018年度の負債ランキングではイタリアのクラブはトップ10のうち4クラブ(インテルユベントスミラン・ローマ)がランクインしている。ユナイテッドのようにそれを賄える収入があればいいが、上記の理由で収入もあまり多くないのが現状だ。

 

(2)税制

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これは改善したが一応触れておく。日本と同様に、イタリアは累進課税である。かつてまで北部の外国の選手には最大で47%、南部では43%の所得税が課せられていた。セリエAの選手の平均年俸は約168万ユーロであるため、ほぼ全ての選手が高額所得者に当てはまる。一方2010年までスペインは24%であった(現在は43%)。これではスター選手を呼ぶにおいて不利な状況である。

 

しかし今年6月に、イタリアにおいて外国籍選手の大幅減税の法案がつくられた。これにより北部の選手は30%、南部は15%になる。これは43%のスペイン、45%のイングランドなどと比べてかなり安いため、今後のスター選手獲得への一助となるだろう。

 

詳しくはこちらをご覧ください

https://news.yahoo.co.jp/byline/moritayasushi/20190727-00135073/

 

ちなみになぜ南部の方が安いのは南部の経済の促進を狙ってますね。参考までに前回の記事をどうぞ(隙あらば宣伝)

https://calcitappi.hatenablog.com/entry/2019/06/30/184223

 

 

ではどうすればいいの?

これは非常に解決の難しい問題である。ましてや日本に住む1人の大学生が簡単に解決策を出せるはずがない。ただ解決していく方向性にはおそらく2種類あるだろう。

 

①ビッグクラブが飛び抜けることで改善していく

②下位クラブからじわじわと改善していく

 

ユベントスの1強状態の続くリーグの現状から考えると、おそらく①の方が適しているのだろう。実際にユベントスクリスティアーノロナウドの獲得はセリエA全体の注目度をアップさせた。このようにユベントスセリエA全体の鍵を握っているだろう。

 

最後に

セリエAはなぜ金がないのか。こんなシンプルな疑問でも様々なファクターが絡んでいることがわかっただろう。実際の問題はもっと複雑なのかもしれない。サッカー界にはびこる問題も大体は色々なファクターが絡んでいる。例えばフィールド上の問題でも歴史を振り返らなきゃ解決しないものであるかもしれない。このように様々な視点から現代サッカー界の問題を見てみたらとても面白いだろう。

 

 

 

 

イタリアサッカーと南北問題

お久しぶりです。カルロウです。

 

先日見かけたTweetに、「最近のサッカーライターはサッカーのこと『ばかり』注目して面白くない」というものがありました。

 

その通りだな〜(小並感)と思ったので今回はイタリアに行ったことのない僕が偉そうにカルチョを政治・経済・文化に繋げていこうと思います!!今回は南北問題をピックアップしました!!

 

1.イタリアの南北問題って?

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イタリアを社会で習う時に必ず出てくるといっても過言ではない南北問題。まずそれって何なんでしょう?

 

簡単に言うと、北イタリアと南イタリアの経済格差です。

 

少しだけ詳しくいうと欧州でも有数の工業地帯である北イタリア(ミラノやトリノ等)が経済的に豊かな一方、南イタリア(ナポリ等)は近年多少はマシになってきたとはいえ未だに農林水産業といった第1次産業や観光業が中心で貧しく、南部の税金を北部が負担するなどしてイタリア経済の足を引っ張っている形になってるという問題です。

 

このような現状に北イタリアの人が不満を持つこともあり、実際に北部同盟(Lega Nord)という政党はかつて「北イタリアの独立」を主張し、1996年にはパダーニャという国の建国を宣言しました(国際的な支持は皆無ですぐ撤回されましたが)。

 

南北問題の原因に関してはよく学者の研究対象として分析されますが、数え切れないほど考えられます。

参照→https://medium.com/@favaretto/the-big-italian-divide-why-is-southern-italy-poorer-than-the-northern-part-c1453195eabf

 

ローマ帝国分裂後、約1000年近く地方都市に分かれてバラバラだったということもあり、イタリア人は「地方」の意識がとても強いです。そのため、北部の人間は南部の人間に対して多少の嫌悪感や軽蔑をしてる人がいます。これはイタリアサッカーを見る上でもとても大切な要素の一つです。

 

ちなみにイタリアを北部と南部に2分する分け方と北部・中部・南部に3分する分け方がありますが、サッカーを語る際には2分する分け方が主流です。つまり、ローマも南に含まれます。

 

2.セリエAと南北問題

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この問題ってセリエAと関係あるの?って思うかもしれません。では、様々な基準で北部と南部を比べてみましょう!

 

ちなみに2018-19のセリエA南イタリアのクラブはナポリ・ローマ・ラツィオカリアリフロジノーネです! 

 

北部 vs 南部

セリエAのクラブ数 15 vs 5

②リーグ優勝回数 107回 vs 8回

カップ戦優勝回数 50回 vs 21回

セリエAの総年俸 約8億2100万€ vs 約3億1100万€

 

想像以上に差があることがお分かりいただけたでしょうか?

 

 

南北問題に関してはとても有名なエピソードがあります。1984年、当時世界最高峰のプレイヤーだったマラドーナ南イタリアナポリに移籍しました。マラドーナサン・シーロインテル戦に出場した時、インテルのサポーターはマラドーナに対して横断幕で「Welcome to Italy」と掲げたのです。つまり、ナポリはイタリアではないという相当軽蔑したメッセージです。このエピソードは南北問題を象徴するものであり、そんな中ナポリを初のスクデットに導いたマラドーナが今でもナポリで圧倒的人気を誇るのも納得がいくでしょう。

 

3.南部の象徴ナポリ

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いわゆる北の3強(ユベントスインテルミラン)は大金を保持し、スター選手を獲得して欧州のビッグクラブとして君臨しています。近年はユベントスにその特色が強く見られると思います。世界最高の選手、クリスティアーノ・ロナウドを獲得し、その人気は世界規模です。

 

一方ナポリは都市自体南イタリアの最大都市である(ローマを中部としたら)が、南部のクラブ中心でもあります。地域と密着したクラブ熱狂的なファンナポリはある意味で「典型的な」南イタリアのクラブの特徴を持っていますね。

 

海外サッカーファンであれば、ユベントスナポリの選手やファンが対立していることはよく知っているでしょう。これは単に「優勝を争うライバル」だからではないのです(サッカー『だけ』扱うライターはよく誤解しているが)。これは伝統的にイタリアに根付いている南北対立が顕在化したものなのです。北イタリアのユベントスにとって、田舎者で、規模の小さく、自分達を敵視してくる南イタリアナポリに負ける訳にはいかないのは当然ですね。一方、南イタリアナポリにとって、セリエAを支配し、金満で、世界的スターのいる北イタリアのユベントスはとてもわかりやすい「ヒール」なのです。

 

4.なぜ南イタリアの人は熱狂的なの?

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北イタリアにおけるサッカーは他国のサッカー文化と似ている部分も多いです。一方、様々な偏見を受けてきた南部の人間にとって、サッカーは北部への抵抗や憂さ晴らし手段の一種でもあるのです。普段圧迫を受けていた人々(=観客の南イタリア人)の飢えた欲望が満たされるものでなのです。それがよく南イタリアのサポーターは情熱的だと言われる由縁なのです。これは裕福な地域、ましてや日本のサッカーと決定的に違うところだと思います。

 

5.最後に

よくサッカーの戦術などを分析する記事はよくあります。私たちが「サッカーを勉強しよう!」思った時は、選手を覚え、戦術を学ぶのが普通でしょう。しかしヨーロッパや南米といったサッカーが生活に染み付いてる地域の理解をするには歴史・背景・社会情勢などの理解が必要不可欠です。このような文化に着目してサッカーを注目すると、新たな魅力が見えてくるかもしれないですね!