お久しぶりです。カルロウです。
先日見かけたTweetに、「最近のサッカーライターはサッカーのこと『ばかり』注目して面白くない」というものがありました。
その通りだな〜(小並感)と思ったので今回はイタリアに行ったことのない僕が偉そうにカルチョを政治・経済・文化に繋げていこうと思います!!今回は南北問題をピックアップしました!!
1.イタリアの南北問題って?
イタリアを社会で習う時に必ず出てくるといっても過言ではない南北問題。まずそれって何なんでしょう?
簡単に言うと、北イタリアと南イタリアの経済格差です。
少しだけ詳しくいうと欧州でも有数の工業地帯である北イタリア(ミラノやトリノ等)が経済的に豊かな一方、南イタリア(ナポリ等)は近年多少はマシになってきたとはいえ未だに農林水産業といった第1次産業や観光業が中心で貧しく、南部の税金を北部が負担するなどしてイタリア経済の足を引っ張っている形になってるという問題です。
このような現状に北イタリアの人が不満を持つこともあり、実際に北部同盟(Lega Nord)という政党はかつて「北イタリアの独立」を主張し、1996年にはパダーニャという国の建国を宣言しました(国際的な支持は皆無ですぐ撤回されましたが)。
南北問題の原因に関してはよく学者の研究対象として分析されますが、数え切れないほど考えられます。
ローマ帝国分裂後、約1000年近く地方都市に分かれてバラバラだったということもあり、イタリア人は「地方」の意識がとても強いです。そのため、北部の人間は南部の人間に対して多少の嫌悪感や軽蔑をしてる人がいます。これはイタリアサッカーを見る上でもとても大切な要素の一つです。
ちなみにイタリアを北部と南部に2分する分け方と北部・中部・南部に3分する分け方がありますが、サッカーを語る際には2分する分け方が主流です。つまり、ローマも南に含まれます。
2.セリエAと南北問題
この問題ってセリエAと関係あるの?って思うかもしれません。では、様々な基準で北部と南部を比べてみましょう!
ちなみに2018-19のセリエAで南イタリアのクラブはナポリ・ローマ・ラツィオ・カリアリ・フロジノーネです!
北部 vs 南部
①セリエAのクラブ数 15 vs 5
②リーグ優勝回数 107回 vs 8回
③カップ戦優勝回数 50回 vs 21回
④セリエAの総年俸 約8億2100万€ vs 約3億1100万€
想像以上に差があることがお分かりいただけたでしょうか?
南北問題に関してはとても有名なエピソードがあります。1984年、当時世界最高峰のプレイヤーだったマラドーナが南イタリアのナポリに移籍しました。マラドーナがサン・シーロでインテル戦に出場した時、インテルのサポーターはマラドーナに対して横断幕で「Welcome to Italy」と掲げたのです。つまり、ナポリはイタリアではないという相当軽蔑したメッセージです。このエピソードは南北問題を象徴するものであり、そんな中ナポリを初のスクデットに導いたマラドーナが今でもナポリで圧倒的人気を誇るのも納得がいくでしょう。
3.南部の象徴ナポリ
いわゆる北の3強(ユベントス・インテル・ミラン)は大金を保持し、スター選手を獲得して欧州のビッグクラブとして君臨しています。近年はユベントスにその特色が強く見られると思います。世界最高の選手、クリスティアーノ・ロナウドを獲得し、その人気は世界規模です。
一方ナポリは都市自体南イタリアの最大都市である(ローマを中部としたら)が、南部のクラブ中心でもあります。地域と密着したクラブ。熱狂的なファン。ナポリはある意味で「典型的な」南イタリアのクラブの特徴を持っていますね。
海外サッカーファンであれば、ユベントスとナポリの選手やファンが対立していることはよく知っているでしょう。これは単に「優勝を争うライバル」だからではないのです(サッカー『だけ』扱うライターはよく誤解しているが)。これは伝統的にイタリアに根付いている南北対立が顕在化したものなのです。北イタリアのユベントスにとって、田舎者で、規模の小さく、自分達を敵視してくる南イタリアのナポリに負ける訳にはいかないのは当然ですね。一方、南イタリアのナポリにとって、セリエAを支配し、金満で、世界的スターのいる北イタリアのユベントスはとてもわかりやすい「ヒール」なのです。
4.なぜ南イタリアの人は熱狂的なの?
北イタリアにおけるサッカーは他国のサッカー文化と似ている部分も多いです。一方、様々な偏見を受けてきた南部の人間にとって、サッカーは北部への抵抗や憂さ晴らし手段の一種でもあるのです。普段圧迫を受けていた人々(=観客の南イタリア人)の飢えた欲望が満たされるものでなのです。それがよく南イタリアのサポーターは情熱的だと言われる由縁なのです。これは裕福な地域、ましてや日本のサッカーと決定的に違うところだと思います。
5.最後に
よくサッカーの戦術などを分析する記事はよくあります。私たちが「サッカーを勉強しよう!」思った時は、選手を覚え、戦術を学ぶのが普通でしょう。しかしヨーロッパや南米といったサッカーが生活に染み付いてる地域の理解をするには歴史・背景・社会情勢などの理解が必要不可欠です。このような文化に着目してサッカーを注目すると、新たな魅力が見えてくるかもしれないですね!