お久しぶりです、カルロウです!
”今年は地方クラブが大躍進!”
欧州サッカーを普段からご覧になっている方はよくこういったフレーズを普段から耳にすると思います。
実際、欧州サッカーでは「大都市のクラブの方が地方の都市のクラブより強い・大きい」といった傾向が見られることは皆さまもよくご存じでしょう。
そこでインテリジェンスに優れる私にとある疑問が湧いてきました。
「そもそも大都市って何なんだろう?その都市のどの指標が大きければ、クラブの規模が大きくなるのだろうか?」
わかりにくい日本語ですね笑。
つまり、今回はイタリアにおける都市の様々な指標(人口など)を分析し、どれが大きければサッカークラブの規模が大きい傾向にあるのかを探っていきたいと思います。
イタリアは他の西欧諸国に比べて独立が遅れ、各都市の特徴が色濃く残る国です。きっと何かしらサッカーの強さと相関性が見られる指標があるはず!
今回扱うクラブですが、セリエAの20チームでは少ないと個人的には感じたため、セリエBを含めた40クラブを扱います。
早速見ていきましょう!
1.クラブ規模
都市の規模について考える前にまずクラブ規模を正確に定めなければいけません。
なんとも炎上しやすそうな話題ですね()
しかもこれ、めちゃくちゃ難しいのです。
まず、「今」のクラブ規模を切り取るのか、それとも100年を超えたスパンでクラブ規模見ていくのかから問題が生じます。
後者で考えた場合、スクデット回数がおそらく最もわかりやすい指標になると思いますが、7回優勝してるプロ・ヴェルチェッリがナポリ・ローマあたりより強いとするのは21世紀に生きる我々にとっては正直しっくりきませんよね。
そこで、まずは現在のクラブ規模を扱います。
では、クラブ規模とは何なのでしょうか?
順位は正直浮き沈みが非常に激しいものですし、クラブ規模を正確に表していない可能性もあります。
そこで今回は、Transfermarktのデータを参考に、2021年12月15日現在のMarket Value(市場価値)を扱いたいと思います。
(なぜ市場価値が適切かを証明するには何万文字も必要になりそうなのでここでは割愛しますね…許して…)
そして、40クラブを市場価値順に並べた結果がこちらです!
今回はこれを参考にして都市の規模を構成する要素を比較していきます。
2.都市の規模
都市の大きさといっても様々な基準があります。実際よくテレビでやっている世界の都市のランキングはたくさんの基準がありますよね。
そんな大量の基準を扱うと埒が明かないので、今回は…
人の多さ、広さ、豊かさ
という最も基本的な3点から、どれが一番クラブ規模に比例する指標なのかを探っていきたいと思います!
それでは一つずつ行ってみましょう!
⑴人口
人口は都市の規模を定める際に最も思いつきやすい基準ですよね。
実際、天下の総務省も都市の規模を定める際には人口を基準にしております。
ここでイタリアの国立統計研究所が発表した2021年9月30日(エンポリ・フロジノーネ・チッタデッラのみ8月31日)の人口を参照に、先ほどのランキングのまま人口を記載してみました。
ちなみにここでいう人口とは、イタリアの自治体の最小単位であるコムーネの人口を扱います。なので少なめに感じるかもしれませんが、そもそもイタリアは日本の半分程度の人口ですしそういうもんだと思ってください!
人口がこちらになります!
(順位はイタリア全都市内での順位です)
ちなみに人口6位はパレルモ・9位はバーリ・10位はカターニャです。
これだけでは全く意味がわからないと思うので、先ほどの市場価値との関係をグラフにしてみました!
左下がとんでもないことになってますね…
全てカタカナ3文字ですけど頑張って解読してください。
今回の相関係数(2種類のデータの関係の強弱を測る数値)は0.674となっています。一般的にこの相関係数であれば「相関がある」とみなしてよいと思いますので、ある程度人口とクラブ規模の関係性はあると考えられます。
ちなみにほとんどの方が興味ないと思いますが左下の方は拡大するとこんな感じです
⑵面積
「広さなんて関係あるの?」と思うかもしれません。しかし、世界史をやってた人は思い出しましょう。
中世のコムーネは基本的に城壁で囲まれていました。すなわち、都市の規模が大きければそれが面積に直結している可能性も考えられるのです。
なので念のためですが面積でも考えてみましょう!
またイタリアの国立統計研究所のデータをお借りして出した面積はこちらです!
(順位はこの40チーム内での順位となります)
そして市場価値との関係性を示したグラフはこちらになります!
やはりあまり関係なかったですね笑。
実際、相関係数は0.263でした。全体的に中南部のクラブの都市で面積が広い傾向がありました。なんとなく想像通りですね笑。
⑶賃金
お金持ちのクラブが強い傾向があるように、豊かな都市ほどサッカーが強いかもしれません。
本当は年収とかが良いのでしょうが、細かい都市まで載っているデータが見つけられなかったので、皆大好きイタリアの国立統計研究所の一人当たりの一時間の平均賃金で測ろうと思います。
これが豊かさと断言するのは物言いがつくと思いますがご了承ください。
※サッスオーロ・エンポリ・チッタデッラはデータがないため、近隣のモデナ・ピストイア・ヴィチェンツァのデータを使用します。
それがこちらになります
(順位はこの40チーム内での順位となります)
南北問題(イタリアの南北での経済格差)を強く意識づけられるデータとなりましたね。やはり北の地域の賃金が高いです。
そして市場価値とのグラフがこちらです。
相関係数は0.342でした。この程度ですと「相関はなくはない」くらいになります。人口に比べるとクラブ規模を図る指標としては弱いことがわかります。
おそらく本来相関関係はある程度存在するはずですが、北の地域の地方クラブの数が多いことによってかなり係数が低くなった印象です。
以上より、この中では人口が最も適切にクラブ規模を測る指標として適切であることが判明しました!
3.さらに…
しかし、また疑問が生じます。
同じ人口でも大都市近郊の小都市と地方の中規模都市では意味合いが違くない?
多方面から怒られそうですが、地方の中心都市ではないさいたま市は、その地方の中心都市である広島市や仙台市より少し多いですが、なんかそんな感じしませんよね?
イタリアには20の州があります。その州の中でその都市がどれくらいの人口割合を占めるのかを比較していきたいと思います。
もちろん僕の大親友であるイタリア国立統計研究所の人口のデータから計算しました。
(順位はこの40チーム内での順位となります)
市場価値とのグラフがこちらです。
みんな大好き左下を拡大するとこうなります
相関係数は0.466でした。つまり、人口そのものの時の相関係数より低いということです。
以上より、純粋な人口の数が多いほどクラブの規模が大きくなっていく傾向が見られるというのがわかりました!
4.最後に
いかがでしたか?社会人の方などが見たらかなりツッコミどころは多かったと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
やはり人口が多い都市にあるクラブが強い中、4万人程度のサッスオーロの躍進は際立ちますね!このような発見があることが非常に面白いですね!
おそらくイタリア以外の国では別の傾向が見られると思います。イギリス・スペイン・ドイツ・フランス・日本など、時間と気力がある人は是非分析してみてください!